健康トピックス  

「別離」への心の予行演習-ペットロス症候群-



ペットロス症候群とは?

 「Pet Loss」を直訳すればペットを失うことで、「ペットロス症候群」とはそのダメージによる精神的・身体的不調を指します。
当然、大変な悲しみにおそわれ、泣いたり、不眠、食欲不振、食べ過ぎ、胃の痛み、息苦しさ、疲労感、身体の痛みなど、さまざまな症状が現れます。

最近、増えてきています

 文明がいくら発達しても、人間の精神はそれほど変わりません。
単身者はもちろん、家族に囲まれて生活していても、ペットとの情緒的交流はしばしばかけがえのないものとなります。
ことに、核家族化によってペットが家族の一員あるいはそれ以上の比重を持つような場合もあり、最近「ペットロス症候群」がメンタルヘルス上の重大な問題になってきています。

立ち直りを目指して

 ペットを失ったことで「こんなにも悲しい自分は異常ではないか」という思いにとらわれたりする一方で、あなたの周囲には、動物嫌いで「たかがペットに大騒ぎをして」と思う人もいるかもしれません。
さまざまな価値観があり、それが家族の中で食い違う場合には問題になってきます。
 ふつう、ペットの死から4つの段階を踏んで徐々に回復していくとされます。
失ったペットについては良い思い出として気持ちを整理して、新しいペットと暮らしてみようという気になれば、ペットロスはほぼ克服できたといってよいでしょう。
ペットの死をきっかけに優うつな気分、空虚感、不眠や身体の不調などが1か月以上も続くようなときは、かかりつけ医や精神科医・心療内科医に相談してみるのも1つの方法です。
 愛するペットを失った悲しみからの回復は、いずれは直面することになる愛する近親者との死別への予行演習ととらえてはいかがでしょうか。

第4ステップ もとの生活へと戻る 失ったペットのことを思い出として整理する
第3ステップ 少しずつ回復していく ペットがいない環境に慣れていく
第2ステップ 絶望感と悲しみの日々 自分の子持ちを素直に表現する
第1ステップ ショックのあまり事実を認められない ペットの死を現実のものとして受け入れる


指導:東京女子医科大学医学部精神医学講座
    教授 坂元 薫
企画:日本医師会
協賛:第一製薬