健康トピックス  

まずは家族の接し方から-子どもの心の問題-



心を豊かにする共通の経験

 子どもの頃の経験や環境は将来の人格形成に影響を与えます。
心豊かな大人には、大切にされた思い出、命の大切さを学んだこと、安定した生活環境など、子ども時代に共通の経験があるようです。
逆に言うと家族や周囲の人たちが、そのような環境を整えるようにできるかぎり努力することで、子どもの心の問題の多くは解決されると思われます。

こんな環境を

 それには、幼児期から右表のようなことを実践したいものです。
 いずれもなかなか難しい事柄ですが、このような意識をもって日常的に子どもに接するだけでも、子どもの心身の発達に大きな影響を与えます。
もし不十分だと気づいたら、その時からでも実践することが必要です。

1 家族や周囲の人たちが、子どもを大切にし、認め、たくさんほめる。
2 子どもとしっかりかかわり、他人との付き合い方とともに、我慢することなども学ばせる。
3 日常生活の中で、命の大切さを繰り返し学ばせる。
4 幼児期から集団に参加させ、社会の基本的なルールを学ばせる。
5 昼夜の生活リズムをしっかりつけ、心が育ちやすい環境を整える。
“発達障害”の場合も

 一方、なかには行動がマイペースすぎる、こだわりすぎて言うことを聞かない、対人関係が苦手、ひどく落ち着かない、すぐに我慢できなくなる、ルールをなかなか理解できない、不器用で何事もうまくできず遅い、などの子どももいます。
生まれつきの発達障害(自閉症や注意欠陥多動性障害<ADHD>、学習障害、知的障害など)の可能性もあります。
 このような発達障害の子どもたちは、怒られやすく、認められる経験が乏しく、また、人としっかりかかわることも少なくなりがちで、心を育てるために必要な経験がいっそう乏しくなっていきます。
 家族の方々は子どもへの接し方を考えると同時に、もし発達障害が疑われる場合には、早めにかかりつけ医に相談することをおすすめします。



指導:東京都・発達協会王子クリニック
   院長 石崎 朝世
企画:日本医師会
協賛:第一製薬