二見いすず: 今月のテーマは「スポーツ外傷」ですお話いただきますのは、鹿児島県医師会の桑畑 昭洋(くわばた あきひろ)ドクターです。
今週もよろしくお願い致します。

桑畑昭洋Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 桑畑さんはスポーツ外傷がご専門でいらっしゃいますが、今日は中学生の筋肉トレーニングについてのお話をいただけるということですね。

桑畑昭洋Dr: はいそうです。
成長期にある中学生には原則的に器具ですね、ダンベルとかバーベールを使った筋肉のトレーニングは必要ないんじゃないかと思いますね。
といいますのは、この時期は骨の成長が速いんですね。
筋肉の成長がついていかないためにですね、筋肉が弓の弦が張ったような状態にあるわけですね。
この状態で、過剰な負荷をかけますと、筋肉だけではなくて骨そのものにも障害を起こすことになります。
引っ張られて剥離骨折とかですね。
そういうのを起こすわけです。
これを防ぐために、一つの例としまして、野球におきましては、全力投球の回数を小学生は1日50球以内で週に200球以内。
中学生は1日70球で週350球以内。
高校生は1日100球で週500球以内と提言されているわけですね。
この時期に変化球を投げすぎますと、変化球は自然な筋肉の力ではないわけですね。
このために投げすぎますと障害を引き起こしてくると。
だから、あまりこの時期に変化球を投げすぎない方がいいだろうということを言われていますね。

二見いすず: 本人が望んでやっているというところもあるんでしょうけども、周囲の期待も大きいというそういうことも問題があるかもしれませんね。

桑畑昭洋Dr: そうなんですね。
先週も申し上げましたように、小中学生の頃は、レクリエーションスポーツという考え方でいいと思うんですけど、現実的には色んな大会もありますし、その大会で活躍すれば、勝てばですね、親も子も嬉しいわけですね。
それはよく理解できるんですけどね。
いざ故障が起きたときですね、初期であったら短期間の安静加療で治るんです。
一週間以内くらいでですね。
ちょっと痛いなというくらいでしたら。
それをですね、何の理由もなくたいした事はないとか頑張れとか休むとレギュラーを外されるとかですね、そんな理由で安静を取れずに痛いまま投げてしまって症状が悪化して、結果、長期の加療を必要としたり、ひどい場合はですねそのスポーツを諦めなければならないこともあるわけです。
そうならないために親御さんたちは十分に注意、親御さんたちに限らず指導者もですけどね。
子どもが正直に体の状態を報告できるような雰囲気をかねてから作っておくということが大事だと思うんですね。


二見いすず: ありがとうございました。

桑畑昭洋Dr: はい。