二見いすず: 今月は受験生の健康管理をテーマにお送りいたします。
今週もお話をしてくださいますのは鹿児島県医師会の大迫政智(おおさこ まさとも)ドクターです。
大迫さん今週もよろしくお願い致します。

大迫政智Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は受験生の健康管理ということで、主に体のことに関するお話をいただきましたが。
今週は?

大迫政智Dr: 今週は心に関することについてお話したいと思います。
結論から先にいうことにしますと、やるだけやったという開き直りの気持ちを持てるようにする工夫をすることが大切です。
本番の日が近づくにつれて次第に受からなかったらどうしようとか、これまで無駄なことばっかりしてきたんじゃないかというふうに妙な苛立ちとか、不安・落ち込みなどに陥ることがあります。
こういうときに、倦怠感・頭痛・下痢などの自立神経症状をともなうこともあります。
こういう状態を軽くするためには、第一に規則正しい食習慣とそれから質の良い睡眠サイクルへ徐々に変える努力によって、自律神経のリズムを回復しましょう。
第二番目には、リラクゼーションの訓練。
深呼吸の練習が大切ですね。
いろいろな方法がありますが、例えば両肩が耳にくっつくまで持ち上げながら、胸いっぱいに息を吸って、今度は息を吐きながら両肩を一番下まで下げるという練習です。
ゆっくり大きくリラックスと心で唱えながら練習すると良いと思います。
心を落ち着かせて自律神経を落ち着かせる最も簡単な体操です。
三番目に、なったらなったとき結果は努力についてくるさと開き直りの工夫をすることも大切なことだろうと思います。

二見いすず: 受験がいよいよ明日ともなりますと、ご本人の緊張というのは大変なものがあると思うんですけど。

大迫政智Dr: これも結論から先に言うことにしますが、肝心なのは普段通りに行動するということです。
前の夜は、それまでと同じ時刻にいつものように床に入りましょう。
今夜は早く寝ようとか、いつもと違うことは決してしない方がよいと思います。
もしも、普段のようにうまく寝つけない場合慌ててはいけません。
まずはいつもの深呼吸をしてみましょう。
最低4〜5時間眠れたら翌日最低限の集中力は発揮できるはずです。
ですから、やれるだけの努力はしてきたと心の中で唱えることにしましょう。
当日の朝は、いつも通りの時刻に起きていつも通りに食事をして早めに試験場に着きましょう。
ここでも、普段と同じ感覚というのが一番大切です。
試験問題を前にして頭が真っ白になっちゃったり、心臓がバクバクしちゃったりしたら、なったらなったときと開き直りましょう。
いつもの深呼吸を5回しましょう。
自分だけの大切なお守りというものをもっていくのもよいだろうと思います。

二見いすず: 深呼吸ってとても大切なことですね。
そしてご家族は、注意することはありますでしょうか。

大迫政智Dr: そうですね。
家族が気をつけることとしては、要は本人の受験なんですから本人がリラックスして受験に望めるように援助してあげたいものです。
そのためには受験日に親も普段とあまりにも異なる行動をしないこと。
例えば、普段から親に頼りがちの子供の場合は、迷わずいつも通りこまごまと世話をやいてあげて下さい。
それ以外の子供の場合は、あれこれうるさいことはいわずに本人のペースに任せることです。
見張るでもなく監視するでもなく、心では心配しながら口を出さない。
子供をじっと温かく見守ってあげる姿勢が、難しいですが一番大切なことだろうと思います。

二見いすず: はい。わかりました。
どうもありがとうございました。

大迫政智Dr: どうもありがとうございました。

二見いすず: お話は大迫政智ドクターでした。