二見いすず: 今月は『生活習慣病』についてお聞きしています。
お話をしてくださいますのは今週も鹿児島県医師会の瀬戸山 史郎(せとやま しろう)ドクターです。
瀬戸山さん今週もよろしくお願い致します。

瀬戸山史郎Dr: どうぞよろしくお願い致します。

二見いすず: 生活の様々な要因が絡み合って発症する生活習慣病、まさに現代病・文明病ともいえると思いますが。
今週はその一つ、気になる「がん」についてお話いただけますでしょうか。

瀬戸山史郎Dr: 現在がんは全国で増えていまして、平成14年度全国で30万人います。
これは日本人の3人に1人ががんなんです。
同じようなことが私ども鹿児島県でもやはり5,000人近い人が亡くなっていまして、これも3人に1人ががんだということになっています。

二見いすず: 特に鹿児島県で特徴的なことが何かありますでしょうか。

瀬戸山史郎Dr: 鹿児島は実は肺がん王国なんですね。
毎年増えていまして、平成10年全国で6位なんです。
死亡者は。
胃がんは43位で低いんですが。
これはなぜかといいますと、肺がんは年をとる程がんが増えるという傾向にあるんです。
鹿児島県は非常に高齢県ですから、今後益々増加することが予想されていますね。
しかも、もう一つ問題なのは、肺がんというのは手術すれば完全に治る早期がんが、発見割合が子宮がんの8割に対してわずかに3割しかないということが、非常に私達の悩みの種なんですね。

二見いすず: 早期に見つかればという思いがおありなんですね。

瀬戸山史郎Dr: そうなんです。
これはなかなか悪いんです。
早期がん発見率がですね。

二見いすず: その他、いかがですか。

瀬戸山史郎Dr: その他、増えてきた男性の前立腺がん、これは100人に1人見つかっています。
それから大腸がんと乳がん、これはやはり3つのがんすべて最近の食生活が欧米化したと。
つまり、脂肪の摂り過ぎということに関係があるわけですね。
特に女性に多い乳がんは、ここ10年間で約2倍増えています。
特に40歳代が2.5倍増えていまして、内臓脂肪型肥満、この女性は約3倍発症率が高いと言われています。

二見いすず: とても気になりますね。

瀬戸山史郎Dr: そうですね。

二見いすず: がんには一次予防と二次予防という考え方があるそうですが。

瀬戸山史郎Dr: がんの場合は、一次予防というのは食事とお酒とタバコなんですが、一番大事なのが二次予防といいまして、自覚症状がない時に検診を受けていただくと言うことです。
がん検診を受けていただくと、とにかく自覚症状があって病院を受診したときに比べて、早期がんの発見率が64%と発見率が高いですね。
それからがんが完全に治ったことを示す5年生存率も非常に高くて、例えば子宮がんでは99%。

二見いすず: ほとんどと言っていいですね。

瀬戸山史郎Dr: はい。
乳がんでも96%。
大腸がんでも97%ということですから、ほとんど助かるんですね。
それからそういうことで入院医療費も安くつきますし、特に鹿児島では離島が多いですから、やはり離島の人も受けられるという大きなメリットがありますね。

二見いすず: このがんの二次予防についてはやはり定期的に検診を受けるということが大切ということなんですね。

瀬戸山史郎Dr: そうなんですね。
自覚症状がないときに年に1回、例えば自分の誕生日等に検診を受けるということが大事だと思います。

二見いすず: 三週にわたって生活習慣病のお話を伺って参りしまたが、来週はまとめということで引き続きお願い致します。
ありがとうございました。
お話は鹿児島県医師会の瀬戸山 史郎ドクターでした。