二見いすず: | 今週から3回にわたりまして、「性感染症」について伺って参ります。 お話は鹿児島県医師会の波多江 正紀(はたえ まさゆき)ドクターです。 よろしくお願い致します。 |
波多江正紀Dr: | よろしくお願い致します。 |
二見いすず: | 波多江さんには、昨年「婦人病」についてお話をしていただきました。 ご専門の婦人科のお立場から今回は「性感染症」について重要なお話をお伺いしたいと思います。 まず、この性感染症とはどういったものなんでしょうか。 |
波多江正紀Dr: | 一般に性感染症とは、性行為感染症のことを言っておりまして、セックスによって感染する全ての疾患のことを言っております。 その中でも、特に男性性器、女性性器にだけ病気が比較的限局している病気のことを、昔から性病といっております。 |
二見いすず: | 具体的にはどのような病気がありますか。 |
波多江正紀Dr: | 今は、性病のパターンが変わってきましたけれども、今もっとも多い性病というのは、クラミジア・淋病・性器ヘルペスです。 その他には、梅毒・コンジローム・エイズ・トリコモラスとたくさんのものがあります。 |
二見いすず: | 女性・男性、どちらに症状が出るんですか。 |
波多江正紀Dr: | はい。 不思議なことに若い女性において、クラミジアが圧倒的に多いですね。 性的交渉で起こりながら、なぜか女性の方に圧倒的にクラミジアが増えている。 男性の方はどちらかというと、淋病の登録が非常に増えているということが言われています。 |
二見いすず: | 症状はどういったものが出るんですか。 |
波多江正紀Dr: | これは、非常に困ったことに最近の多い上から3つの疾患というのは、比較的症状がない無症候性の性感染症と言われています。 従って、女性の場合で言いますと、クラミジアは本当にオリモノがちょろっと増えたという程度しか症状がなかったり、もう少し長く時間が経ちますとお腹が痛かったりということが起こります。 淋病においても全く同じで、オリモノぐらいしかないということで、本人が気づかないまま感染症にかかっていることが多いということが問題なんですね。 |
二見いすず: | それは怖いですね。 |
波多江正紀Dr: | 怖いですね。 |
二見いすず: | その原因というのは、どういうことなんですか。 |
波多江正紀Dr: | クラミジアは、若い女性ということを中心に考えますと、不特定多数の男性と関わっていたり、パートナー自身がそのような不特定多数の女性と関わっていたりするとその中に感染症の人が一人でもいれば、連続的に感染してくるということが一番多いわけですね。 |
二見いすず: | 知らないうちにどんどんどんどん病気を増やしてしまっているという現実があるわけですね。 |
波多江正紀Dr: | ありますね。 症状がないですから、治療・診断を受けるチャンスがないまま自覚しないで、感染させてしまうということになりますね。 |
二見いすず: | そして、最近は低年齢化ということが非常に深刻なんだそうですね。 |
波多江正紀Dr: | 15歳から19歳のクラミジアだけを代表にしますと5年間で倍増しています。 非常に増えているということで危惧されていますね。 |
二見いすず: | それが、ひいては若い女性が年齢を重ねて婦人科の病気になるケースもあると。 |
波多江正紀Dr: | 一番困るのは、このような病気の治療が遅れますと卵管がつまって不妊症とか、子宮外妊娠になりやすい。 また、これがずっと慢性化したままほっておいて妊娠すると知らないうちに、感染が広がって生まれてきた子供の肺炎が起こったり、結膜炎が起こったりとか重篤な病気も起こります。 一番困るのは、生殖能力は意外と障害されやすいということですね。 |
二見いすず: | お話を伺っていますと、本当に深刻な病気だと思います。 来週もまたどうぞよろしくお願い致します。 |
波多江正紀Dr: | よろしくお願い致します。 |
二見いすず: | お話は鹿児島県医師会の波多江正紀ドクターでした。 |