2004.7.24
第65回放送分『性感染症』 ゲスト:波多江正紀ドクター


二見いすず: 先週から「性感染症」について伺っています。
お話は鹿児島県医師会の波多江 正紀(はたえ まさゆき)ドクターです。
波多江さん、今週もよろしくお願い致します。

波多江正紀Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: 先週、性感染症が中学、高校生の女子に激増しているというお話がありましたけれども、これはどういった傾向と言えますか。

波多江正紀Dr: これはやはり若い人たちの性に対するハードル。
この乗り越えてはいけないと思っている気持ちはあるんでしょうけども、そこを踏みとどまらせる力・意志力が足らないと、まわりにもそういう人たちがたくさんいるのでついつい自分もだらだらと受け入れてしまってということだと思います。
もっと言えば人生のロングラン。
長い人生の中の一部分として性の問題は大事な問題で入口にあるということを捉えておくべきだと思いますけども、そういう意識がなかなかうえついていないということだと思います。

二見いすず: 女性としてこれから先、結婚して子供を産んでというような人生設計がなかなか描ききれないということがあるんでしょうかね。

波多江正紀Dr: そうですね。

二見いすず: あの、やっぱり無知なんでしょうか。
そうではないんですか。

波多江正紀Dr: だいたい高校生くらいになるとほとんど性病の病名とかどういう症状が起こるというのは知っています。
知っていますけども、それに対して防止、自分を守るということの具体的な行動は何かということがなかなかわかっていない。
例えば、コンドームを使って、避妊をするということは案外知っていますけども、若い人たちの避妊方法の中にコンドームというのは一番ではありません。
意外と使われていない。
もし、使うような人でも妊娠を防止するという意味でコンドームを使いますけども、感染を防ごうと思うと性行動の始めからつけておかないと無駄になってしまうということを理解されてないんだろうと思います。

二見いすず: ある程度の知識はあるんですけども、それが行動となかなか結びつかないということなんですね。
そのコンドームがなかなか手に入りにくいということが日本にはあるんですか。

波多江正紀Dr: はい。
こういう行動を社会が受け入れる時間がなかったのもあると思いますけど、欧米ではホテルとかトイレには自動販売機で誰でもいつでもシークレットに買えるような環境にありますので、現実を見据えればそういうことも我々は考えておく必要があると思います。

二見いすず: さて、波多江さん夏休みに入りましたけども、この時期はやはり心配ですね。

波多江正紀Dr: どうしてもやっぱりシーズン的に若い人たちにも解放された気持ちになりますので、性的行動が確実に増えます。
これは現実ですけど、その証拠に夏休みが終わって秋口になりますと、子宮外妊娠がもうたくさん患者さんとしてみえたり、望まない妊娠の中絶を希望するような人がたくさんやってくるというのが現実です。

二見いすず: お話を伺ってますと、こんなに深刻なのかとちょっとびっくりしますし、親御さんにとっては心配の種がつきないお話しですけども、来週も引き続きよろしくお願い致します。

波多江正紀Dr: お願いします。

二見いすず: ありがとうございました。
お話は鹿児島県医師会の波多江正紀ドクターでした。