2004.7.31
第66回放送分『性感染症』 ゲスト:波多江正紀ドクター


二見いすず: 今月は「性感染症」について伺っております。
お話は鹿児島県医師会の波多江 正紀(はたえ まさゆき)ドクターです。
今週もよろしくお願い致します。

波多江正紀Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: 波多江さん、今週はまずショッキングな数字からご紹介いただきたいと思うんですが。

波多江正紀Dr: 鹿児島県は、一年間に12,000くらいのお産がありますけども、全国の10代の人工妊娠中絶は46,000あるんですね。
そうしますと、10代の人たちの77人のうち1人が20歳前に人工妊娠中絶を経験するというデータが出ております。

二見いすず: 実際この数字を伺いますと、本当に深刻なんだなあというふうに感じますね。
性感染症といいますのは子宮の病気やがんに発展する恐ろしい病気というお話でしたが、治療とか検査は難しいんでしょうか。

波多江正紀Dr: 専門医を伺っていただければ、検査と治療を含めて、だいたい五千円弱で充分治療可能だと思います。

二見いすず: すっかりよくなるんですか。

波多江正紀Dr: はい。
すごく手遅れな状態で受診しない限り、比較的治療しやすいです。
ただし条件はパートナーもしっかり治療すること。
さらなる感染を繰り返さないこと。
そういうことですね。

二見いすず: パートナーと一緒に治療するということですね。
ただ、あの低年齢の女性の皆さんにとっては、気づかなかったり、あるいは病院に行くということがなかなか決断できなかったりということがあると思うんですが。

波多江正紀Dr: はい。
現実的にはこういった病気だなぁと本人が気づくと友達同士で相談して実際の治療を受けるまでの行動が非常に遅れていると言われていますので、ちょっと心配なところがあります。

二見いすず: そうなりますと、やはり親御さんということになるんですが、なかなか難しいですね。

波多江正紀Dr: はい。
家庭内でですね。
人生の一番の見本は両親ですから、人生のロングラン、長い一生の中でのあなたの今の行っている行動はどんな意味があるかとか、性的行動を起こし始めることがどんなに将来に影響があるのかとか、もっと理想的な生き方のためにはこんなことが必要だというようなことが家の中でいつもはしばしに会話でされていてもいいのではないかと私は思っておりますけども。

二見いすず: ということは、こういう問題が発生したときにお話しましょうと、そのときに話をするのではなくて、普段から折りにふれて、人生の将来のことも含めながら家庭で話が出来るということが大切ですね。

波多江正紀Dr: 人生というのは、大事に大事に守っていかないとちょっと転んじゃうと取り返しがつかなかったり、大きな代償を払うということになりますので、そういう構造になっているんだということをやはり子供に教える必要があると思いますね。

二見いすず: お年頃のお子さんをお持ちの親御さんにとっては、本当に心配だと思うんですが、ことが起こる前の段階のことをゆっくり一緒に考えていただきたいですね。

波多江正紀Dr: どんどんアメリカも感染症を防止することよりも、前の、行動を起こす心の問題をケアしようと。
日本ではちょっと問題とされていますけど、純潔教育にアメリカも移りつつあるということです。

二見いすず: はい。
わかりました。
性に対するハードルが低くなっている若い方々に本当にもう一度考えて慎重にというふうに期待するしかないのかもしれませんが、ことは大変に深刻だということを心にとめておきたいと思います。
三週にわたって貴重なお話をいただきました。
ありがとうございました。

ありがとうございました。
鹿児島県医師会の波多江正紀ドクターでした。
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