2004.8.21
第69回放送分『鼻』 ゲスト:伊東祐久ドクター


二見いすず: 日頃感じる健康や病気に関する不安や疑問に鹿児島県医師会の専門のドクターにお答え頂くコーナーです。
さて、今月8月7日は「鼻の日」でした。
そこで、今週と来週は「鼻」についていろいろなお話を耳鼻咽喉科がご専門の鹿児島県医師会の伊東祐久(いとう すけひさ)ドクターに伺います。
伊東さんよろしくお願い致します。

伊東祐久Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: まず伊東さん、鼻の日というのはいつごろ制定されたのでしょうか。

伊東祐久Dr: はい。
鼻の日は昭和36年4月に日本耳鼻咽喉科学会が「明るい頭脳は健康な鼻から」ということで、鼻を大切にしましょうとして、8月7日をゴロ合わせで鼻の日と定めました。
この日にちなんで鹿児島大学の耳鼻科の先生が中心となって鹿児島市では「鼻の日市民講座」が毎年開かれています。
今年で5回目になりますが、テーマは「いびきと睡眠時無呼吸症候群」「最近の蓄膿症とその治療」「アレルギー性鼻炎にお悩みの皆さんへ」でした。

二見いすず: ところで、鼻の働きといいますと思いつくのは、呼吸をするとか、匂いを嗅ぐとかいろいろあると思うんですが、鼻が悪くなりますと体にはどのような影響が出るんでしょうか。

伊東祐久Dr: 皆さんが考えているよりも色々不都合なことが起こってきます。
鼻が悪いと耳も悪くなり、のども悪くなります。
また、目が悪くなることもあります。
そして、頭の働きも悪くなるんです。
何より鼻が悪いとご飯もおいしくなくなります。
風邪をひいて鼻が詰まっていたりすると不愉快で、いらいらした経験をおもちの方も多いと思いますが、こういうことから体の調子も悪くなることがあるんですね。
ただ、鼻の調子が悪くてもすぐに命に別状はありませんのでそのままに放っておきがちですが、今申し上げたように色々なところに支障が出てきます。
特に、成長期にある子供さんにとっては鼻は大事な器官で、また大人にとっても鼻をいつも調子のいい状態にしておくことは体全体の健康を保つためにも必要なことだろうと思います。

二見いすず: はい。
確かに、鼻の調子がちょっと悪いけれども大丈夫かなとついつい放っておきがちなんですが。
では、鼻が悪くなると実際にはどのような症状が出るんでしょうか。

伊東祐久Dr: まず鼻詰まりですね。
これは鼻の粘膜が炎症を起こして腫れるために起こるものですが、一時的なものであればよろしいのですけれども、長い間続くと大変苦しいものです。
鼻が詰まりますといびきをかく、頭痛がする、夜眠れない、口がカラカラに乾く、のどが痛いなどの様々な症状を引き起こすからです。
重症かつ長期にわたる鼻詰まりでは、睡眠時無呼吸症候群の原因になっているケースもあります。
次に鼻汁ですね。
これは水みたいなものから膿性のものなど色々あります。
鼻の奥とのどはつながっていますので、この鼻汁がのどの方に流れる後鼻漏が起こりますとのどの違和感も起こっています。
それから匂いもわかりにくくなります。
匂いがわからないとガス漏れにも気付かず、非常に危ないと思います。
また食事がおいしくなかったり、女性の訴えに多いのですが、料理の味付けが濃ゆくなって困ると言う方もおられるようです。
発症初期においては、治療して改善することが期待できますけれども、何ヶ月も経ってからでは匂いが戻らないこともあります。
風邪の時にも匂いがわからなくなることがありますが、風邪が治ってからも匂いがわからない時には要注意です。
その他、頭が痛かったり、重たかったり、注意が散漫になったり、記憶力が悪くなったり、また、鼻汁を飲むことによって起こる胃腸症状等も起こってきます。

二見いすず: 鼻の調子が悪いということから、こんなにたくさんの病気がうまれるというのにはちょっと驚きました。
伊東さん来週また続きをお聞かせ下さい。
よろしくお願い致します。

伊東祐久Dr: はい。
よろしくお願い致します。

二見いすず: ありがとうございました。
お話は、鹿児島県医師会の伊東祐久ドクターでした。