2004.9.18
第73回放送分『子どもと家庭内の虐待』 ゲスト:小野星吾ドクター


二見いすず: 今月は「子どもと家庭内の虐待」について鹿児島県児童総合相談センターの療育指導部長の小野 星吾(おの せいご)さんにお話をしていただきます。
小野さん今週もよろしくお願い致します。

小野星吾Dr: はい。
よろしくお願いします。

二見いすず: 今週も子どもの虐待についてお伺いしたいと思いますが、虐待とよく耳に致しますし、私どもも口にしたりするんですが、実際にはどのようなことを虐待と呼んでいるんでしょうか。

小野星吾Dr: はい。
虐待には大きくわけて4つに分類されます。
一つは皆さんよく気付かれる身体的虐待、一つは心理的虐待、これは心に対する痛みを感じさせる虐待です。
それから性的虐待。
これはいわゆる青少年に性的行為を強いるというような虐待です。
それからネグレクト。
これは日本語に返しますと無視ということで、必要な医療を与えないとか必要な食事を与えないとか、またきれいな服を着させない、入浴をさせないというようないわゆる育児にとってとても基本的なものをしないというのが無視ということになります。
それから平成16年10月からこの虐待防止法に一部改正がございます。
その中には、家庭内において父親と母親が子どもに危害を加えるだけでなく、父親と母親とのケンカ等を子どもの前で行い、家庭内暴力を子どもに見せるということも心理的虐待というふうに分類されてきております。
また、同居人による児童虐待と同様の行為を保護者が黙認することもネグレクトになります。

二見いすず: 確かにそうですね。
小さいお子さんにとっては衝撃の大きいということ考えればやはり心理的な虐待に含まれるということなんですね。

小野星吾Dr: そうですね。

二見いすず: 例えば身体的虐待ですと、怪我をしているとかアザがあるとかそういったことからうかがえる部分もあると思いますが、他のことはなかなか分かりずらいところが多いんじゃないでしょうか。

小野星吾Dr: そうですね。
これは私が一回経験してミスったということかもしれませんけれど、某地域で虐待と思われる子どもがおりました。
医療団もそれにある程度気付く人がいたので地域全体で虐待ではないかということで、今度同じようなことがあったときには保護しようと決めていた事例があるんですけど、結果的に虐待を加えた親はその地域以外の医療機関に子どもを連れて行くということで結果的に地域で守れなかったという経験もございます。

二見いすず: そういうケースを受けて、そういったケースの場合、どう対処すれば未然に防ぐことが出来るのかということですよね。

小野星吾Dr: そうですね。
やはり多発骨折とか頭蓋内出血とかいわゆる死につながるような傷を見た場合は、早めにやはり児童相談所・保健所等の力をもらいながら積極的な対応が必要ではないかと考えます。

二見いすず: やはり一人では立ち向かえないですね。

小野星吾Dr: そうですね。
一つの職種だけで立ち向かおうとすればとても大変ですのでやはり色んな行政、最終的には警察力も使うようなことも必要かもしれません。

二見いすず: はい。
わかりました。
来週も引き続きよろしくお願いいたします。

小野星吾Dr: はい。

二見いすず: お話は、鹿児島県児童総合相談センター療育指導部長の小野星吾ドクターでした。
ありがとうございました。