2005.4.2
第101回放送分『漢方』 ゲスト:徳留一博ドクター


二見いすず: 『今月は『漢方』をテーマにお聞きして参ります。
お話しは、鹿児島県医師会の とくどめ かずひろ ドクター です。
徳留さん、どうぞよろしくお願い致します。』

徳留 一博Dr: 『よろしくお願い致します。』

二見いすず: 『徳留さんは内科のドクターでいらっしゃるんですが、漢方を専門に取り組んでいらっしゃいます。
そもそも、漢方に興味を持たれた理由はどのうようなところなんですか?』

徳留 一博Dr: 『はい。
臨床医には患者さんの症状を軽くすることが求められております。
患者さんの今悩んでいる苦しみや痛みを良くしていくという点で漢方は優れた面があります。
そういうところに魅力を感じました。』

二見いすず: 『そういうわけで今日最初の話題は『高齢化社会と漢方』ということでお話頂きたいと思います。』

徳留 一博Dr: 『はい。
最近は100歳を超える方が珍しく無い時代になってまいりました。
高齢者の病気や健康の維持・管理に、漢方が有効だということをお話したいと思います。
医療の面から見た高齢者の特徴の1つは個人差が、大きいということです。
分かりやすく言いますと70歳で寝たきりの方がいるかと思えば、80歳を過ぎても現役で活躍されている人もいるということです。
また、一人で高血圧症や糖尿病、など、幾つもの病気を持ち、それが慢性化していること。
そして、免疫力が低下しているために、肺炎などの感染症にかかりやすくなっている、ということが高齢者の特徴に挙げられます。』

二見いすず: 『確かに多くの高齢の方々は、そういう状態にあるように思えますが、では漢方の治療ではどんなことが行なわれるんですか。』

徳留 一博Dr: 『はい。
現代医学の治療では、一つの病気・症状に対してそれに適した薬物が処方されますので、症状が複数になると薬も多くなり、飲み方も煩雑となります。
また場合によっては、副作用が心配になることもあります。
漢方には『異病同治』という言葉があるんですが、これはその患者さんの持つ複数の病気を1つの漢方薬で改善して行くという意味なんです。
例えば、高血圧で白内障を持つ患者さんが、腰や膝の痛み、便秘、何度も夜間に小用に起きる、などの症状に悩んでいたとします。
もしこの方が、漢方薬の八味地黄丸の証、すなはち八味地黄丸が効く条件を備えていましたら、八味地黄丸を内服することでこれらの沢山の症状が改善出来るということです。
このように漢方は、身体に出来るだけダメージを与えず、病気の原因を取り除いていこうという医学です。
体力の低下している高齢者の治療に適した優しい医学、医療と言えます。』

二見いすず: 『身体に優しい医学ということがお話で分かりました。
徳留さん、来週もまた続きをよろしくお願い致します。』

徳留 一博Dr: 『はい、わかりました。』

二見いすず: 『お話しは、鹿児島県医師会の とくどめ かずひろ ドクター でした。』