2005.5.7
第106回放送分『五月病』 ゲスト:竹元隆洋ドクター

二見いすず: 『今月は『五月病』をテーマに伺ってまいります。
お話しは、鹿児島県医師会の たけもと たかひろ ドクター です。
竹元さん、よろしくお願い致します。』

竹元 隆洋Dr: 『よろしくお願い致します。』

二見いすず: 『昨年もこのテーマで竹元さんにはお話し戴きました。
五月病といいますと新人さんに向けて使う、冗談めいた表現かと思っていましたら、随分根の深い病気だということでしたよね。』

竹元 隆洋Dr: 『そうですね。
もともと5月病というのは高校生が大学受験の勉強を一生懸命して4月に大学に入学します。
ところがそれからちょうど1ヶ月くらいたって5月になったころになんとなく勉強に意欲がなくなる、あるいはもう学校にいきたくなくなるというようなことでスチューデントアパシーという言葉があるんですけど、大学生の無気力症というようなことで最初は使われておりました。
しかし、だんだんとそれが進んでいきますと全くうつ病みたいな状況になったりとても不安がってみたり、引きこもってみたりそういうふうなことにんたっていきます。』

二見いすず: 『どういう原因で起こるんでしょうか。』

竹元 隆洋Dr: 『そうですね。
これは軽いホームシック程度のものだと誰でもなります。
しかしながらそのレベルがうんと重篤になりますと親子の関係ですね。
小さいときからお母さんが愛情豊かに育てているんですけれどもだんだんと中学生、高校生になりますと『一生懸命勉強しなさい』というようなことで愛情が期待になり、期待が支配になるというようなことですね。
そういった支配するような養育環境におりますとロボットみたいに成長していくわけですね。
主体性が全く失われて自分でものを考える力がなくなってしまう。
大学に入った頃に自分は何をすればいいのか、自分は一体何者なのか。
というようなことが分からなくなるんですね。
そういう状況になっていきます。』

二見いすず: 『放っておくとこれは深刻なことですよね。』

竹元 隆洋Dr: 『そうですね。
これを放っておきますと、例えば学校を退学してしまう。
あるいは新入社員ですともう退職してしまうというようなことになっていきます。
その後がもっと深刻で最近フリーターだとかニートだとか引きこもりだとかというようなこともございますけれども、一方ではギャンブル依存症だとか、アルコール依存症だとか、薬物依存症だとかそっちの方へ流れていってしまって、にっちもさっちもいかないというとても重篤な問題になっていくことがございます。』

二見いすず: 『五月病くらいというふうに軽く考えてはいけないと思います。
放っておくと重篤なことになりかねないというお話を伺いました。
また、詳しくは来週以降、竹元さんよろしくお願いします。』

竹元 隆洋Dr: 『よろしくどうぞ。』

二見いすず: 『お話しは、鹿児島県医師会の たけもと たかひろ ドクター でした。』