2005.5.28
第109回放送分『五月病』 ゲスト:竹元隆洋ドクター


二見いすず: 『今月は『五月病』をテーマにお聞きしてまいりました。
お話しは、鹿児島県医師会の たけもと たかひろ ドクター です。
竹元さん、よろしくお願い致します。』

竹元 隆洋Dr: 『よろしくお願い致します。』

二見いすず: 『1ヶ月にわたって五月病についてお話しいただきましたが、最終週の今日は、まとめという形でお話しをお願い致します。』

竹元 隆洋Dr: 『はい。
五月病というと一般の方は新入社員がテンションが低かったりすると、五月病じゃないのなどといったり、あるいはホームシックにかかってちょっと元気がなかったりすると五月病じゃなかろうかというふうな軽いレベルもあります。そういったものは放置しておけば時間がたてばすっと良くなっていきます。
しかし、五月病というのは根の深い病気でございまして親子の関係、親の育て方の問題そういう問題で子どもの主体性がなくなる、自主性を失って自分が見えなくなる、何をしていいか分からない、という状況に追い込まれていく。非常に深刻な問題であるというふうになります。』

二見いすず: 『具体的な治療法というのは何かないのでしょうか。』

竹元 隆洋Dr: 『はい。
まず、この病気の本質からいって、自分が自分に気づくというのが一番根本にあるんですね。
自分が一体何者であるか、自分が今どういう状況にあるかということに気づくのが第一ですね。
そのために私の病院では『内観療法』という内側を見るという字を書くのですが、『内観療法』という治療を行っています。
どういうことするかといいますと、小学1年生の時からお父さん、お母さんあるいは自分の人間関係の密接な人に対して、今までどういうことをしてもらったか、どういうことをして返したか、もう一つ、どんな迷惑をかけたか、という3つのことをですね、思い出していく。
それを一週間続けて朝から晩までくり返しくり返し思い出していただくんですね。
そういうことをしていきますと、まずしてもらったことを思い出しますと、両親、あるいは兄弟、あるいは妻、夫からどれだけの深い愛情をいただいていたかということに気づいてきます。
そうすると、例えば親の期待あるいは支配になったりいろいろしますけれども実は親の本当の愛情でそういったことが行われていたんだなと親の深い愛情に気づいてくる。
まずここが非常に大事なところですね。
そしてそうなりますと、むしろ親に対する感謝の気持ちが起こってきますし、また一方自分は何もお返しをしていないということに気づくとびっくりぎょうてんという感じもあります。
そして、尚、迷惑もかけ通しだということになりますとこれは誰しもこれではいけないなというようなことに気づいてそして何とかしようというエネルギーがここで意欲がぐっと出てくるんですね。
自分の主体的な意欲がぐっと出てきます。
何とかしなければいけない、という活力がみなぎってくる。
そういう治療法です。』

二見いすず: 『はい。分かりました。
一人で悩まずに何か気がかりなことがあったら専門医をお尋ね頂きたいと思います。
4週に渡って竹元さん、ありがとうございました。』

竹元 隆洋Dr: 『はい。ありがとうございました。』

二見いすず: 『お話しは、鹿児島県医師会の たけもと たかひろ ドクター でした。』