2005.7.30
第118回放送分『性感染症』 ゲスト:内村 道隆ドクター


二見いすず: 『先週に引き続き『性感染症』についてお聞きします。
お話しは、鹿児島県医師会の 産婦人科医 うちむら みちたか ドクターです。
先週は、鹿児島県内で未成年の性感染症の感染患者が急増しているというお話しでした。
今週は、その性感染症の主な症状そして、感染の原因となる行動についてお聞きしました。』

内村 道隆Dr: 『性感染症と言っても数多くの種類があります。
最も多いのは性器クラミジア感染症です。
性器クラミジア感染症の症状はやや帯下が多くなったぐらいで無症状の方が多く、時として下腹部痛を訴える場合もあります。
女性の下腹部痛の半数近くは、クラミジア感染症による子宮付属器炎、骨盤腹膜炎であるという報告もなされていますが、ここまで悪化すると、治療して完治しても将来、卵子の通り道である卵管が狭くなったり詰まったりする『卵管狭窄』や最悪の場合『卵管閉鎖』となり卵子が子宮に辿り着けなくなるため子宮外妊娠や不妊症になる可能性が高くなり、いずれも深刻な問題となります。
この性器クラミジア感染症に比べて、淋菌感染症は、症状が強いため、自覚があって早期に受診されるため発見が早いという特徴があります。
私のクリニックでも以前小学生の少女が、おりものが多いとのことで受診されたことがあったのですが、まさかと思い、淋菌の検査を行なったところ陽性反応が出ましてご両親を通じて調査しましたら、ご自宅の浴室を介して家族内感染を起こしていたという場合もありました。
公衆浴場など、一定以上の温度や衛生管理が保たれる場所では、この淋菌、ましてやエイズウィルスなどが感染することは、先ずあり得ません。
この少女の場合は、ご家庭のお風呂という環境で極めて特別な状態が保たれていたため感染した、非常に稀なケースだと思われます。
このような特殊な感染経路は別として、前回も言いました通り、性感染症は性的な接触が最大の感染原因です。
夫婦間でも、どちらかが別の方と性的接触をしたことが原因で発症したり、近年では未成年の少女と成人男性等不特定多数の相手との性交渉による感染、そして望まない妊娠という例が急増しています。
性感染症は、男性は治療で完治すればまず後遺症などは比較的少ないですが、女性は被害が甚大であることも重ねてご理解され、家庭でも機会があればお子さんを交えて臆することなく真面目に話し合うべき事であると思います。』

二見いすず: 『同じ性感染症に罹っても、男性と女性では全く違う結末が待っている。
とても怖い病気だということが良く分かりました。
お話しは、鹿児島県医師会の産婦人科医『うちむら みちたか』ドクターでした。』