2005.10.22
第130回放送分 『スポーツ外傷とスポーツ障害』 
       ゲスト:橋口兼久ドクター


二見いすず: 『今月は、鹿児島県医師会の橋口兼久(はしぐち かねひさ)ドクターをゲストにお迎えして『スポーツ外傷とスポーツ障害』をテーマにお伺いしています。
橋口さん、今日もよろしくお願いします。』

橋口 兼久Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『先日、突き指についてのお話が出ました時に、突き指には骨折や脱臼、あるいは腱や靱帯が切れていることもあって手術が必要な場合もある、と伺いましたが、その他にも間違った常識がまだまだたくさんあるのではないでしょうか。』

橋口 兼久Dr: 『そうですね。
関節をひねる、いわゆる捻挫につきましても、たいしたことではないように誤解されているように思います。』

二見いすず: 『湿布して、痛みが引いたら、もう大丈夫、というふうに思ってしまうんですが、違うんでしょうか。』

橋口 兼久Dr: 『そういう場合もあるんですけれども、捻挫と言いますのはT度、U度、V度という段階に分けられておりまして、T度程度の軽症であれば、靱帯のごく一部の繊維が切れたり、関節の袋から出血しただけですが、これでもまず冷やしてテーピングなどして、2週間程度は安静が必要です。
さらにU度、V度と重症になりますと、靱帯のかなりの部分、あるいは全部切れて、関節の動揺性が見られる、つまり関節がぐらぐらする状態になっているのです。
よく「一回捻挫してからクセになった」という人がいますが、これは靱帯が切れたままになっているため、関節がぐらぐらして、不安定になっているという状態です。
またねじりやすい状態というわけなのですね。』

二見いすず: 『いままで捻挫を軽く考えていましたが、スポーツ選手でなくても、すぐに専門医に診て貰わなければいけないですね。』

橋口 兼久Dr: 『そうですね。
そのほか、肉ばなれは放っておけば治る、という常識も間違っています。
軽い場合は一週間ほどで競技ができますが、傷を受けたときに、痛みがそう大きくなくても時間がたつと血腫、血のかたまりができて腫れや痛みが強くなり、場合によっては関節の動きが制限されてくることもあるので注意が必要です。
ケガは軽く考えないで、応急処置の後、整形外科医を受診して、アドバイスを受けてほしいと思います。』

二見いすず: 『肉ばなれほどではなくても、日常生活のなかで筋肉がつったりすることもありますが、これもケガにはいるのでしょうか。』

橋口 兼久Dr: 『そうですね。
完全なケガではございませんけれども、筋肉がつる、つまりふくらはぎがよくつることが多いと思います。
これはこむら返りと言いますけれども、こういう症状は、脱水症や内科的疾患が隠れていることもございます。
ほとんどはやはり日ごろのストレッチで柔軟性を高めておくと、防ぐこともできます。
例えば一つの例ですけれども、壁に向かって立ち、両手を壁につき、片足を後ろに引いて、背中から腰、ふくらはぎ、アキレス腱までをグッと伸ばすとストレッチになりますので、ぜひ毎日やってみてください。』

二見いすず: 『はい。分かりました。
それくらいなら忙しくても、続けられそうですね。
来週もよろしくお願いします。』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の橋口兼久(はしぐち かねひさ)ドクターでした。』