2005.2.19
第95回放送分『受験生の心構え』 ゲスト:大迫政智 ドクター


二見いすず: 今月は『受験生の心構え』というテーマで伺っています。
お話しは、鹿児島県医師会の大迫政智(おおさこ まさとも)ドクター です。
大迫さん、今週もよろしくお願い致します。

大迫 政智Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: 先週まで2回にわたりまして、受験生本人の身体面と精神面の注意点についてお話しを頂きましたが、今週はどんなことでしょうか。

大迫 政智Dr: はい今日は、受験生を持つ『ご家族の心構え』についてお話ししたいと思います。
本題に入る前に、高校や大学を受験する子供達、つまり14〜15歳から17〜18歳にかけての年代ですね。
この子供達の心の発達段階の特徴について説明することにします。
この年頃は、「いわゆる思春期」と呼ばれて、カラダが大人の体型に次第に近づいていくというのが大きな特徴です。
この時期より前には、親に頼りがちだったり、よい子であろうとしたりしていたものが、次第に親の言うとおりには行動しなくなり、親に秘密でコソコソ何かやっている、といったことも増えてきます。
親から見れば、まさに反抗期ですね。
子供の立場から言うと、蝉がサナギの殻を脱ぎ捨てるときのように、自分を取り巻く何もかもからスッポリ抜け出たいのに、なかなかそれができない。
あるいは、歯が生え始めた赤ちゃんのように、色んな物に噛みついて確かめたい衝動が突き上げてくると、そういう時期です。
ですからこの時期の子供にとって、外側からキッチリはめ込もうという定まった枠のようなもの、たとえば規則・宿題・親・教師といったような物と、思春期のこの子供達の内側から突き上げる衝動とは、相性があまり良くないのです。

二見いすず: 思春期の子供達にとっては、受験というのはそんな中でも大変大きなストレスということですね。

大迫 政智Dr: そうですね。
そこで家族の心構え、つまり、このようなストレスを抱える受験生に対する家族のつきあい方の工夫、ということについてお話しすることにします。
普段から家族が気をつけてあげたいこと。
それは、本人がリラックスして受験に望めるように援助してあげたい、ということでしょう。
子供が感じる不安や焦りを、家族みんながまるで自分自身の不安や焦りのように感じるようになっては困りものです。
要は本人の受験なのですから、放りっぱなしでもなく、手をかけすぎでもなく、「見放す」でもなく、「監視する」でもなく、心では心配しながら、口を出しすぎず、子供をじっと温かく見守る姿勢、というのが、難しいけれども一番大切だと思います。
受験当日には、受験生の心構えと同じように、親も普段と余りにも異なる行動をしないように心がけましょう。
例えば、普段から親に頼りがちの子の場合は、迷わず、いつも通り細々と世話を焼いてあげましょう。
それ以外の場合は、あれこれうるさいことは言わず、本人のペースに任せるのが良いでしょう。

二見いすず: はい。
まあご家族も普段通り、いつも通りが大切ということですね。
ありがとうございました。
来週は、また続きをお願い致します。

大迫 政智Dr: はい。
わかりました。

二見いすず: お話は、鹿児島県医師会の大迫 政智(おおさこ まさとも)ドクターでした。