2006.7.22
第169回放送分『エイズ』 ゲスト:波多江正紀ドクター


二見いすず: 今週と来週の2週に渡って、エイズについて、鹿児島県医師会の波多江 正紀(はたえ まさゆき)ドクターにお話を伺います。
よろしくお願いいたします。

波多江正紀Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: エイズというのはよく耳にして漠然と知っているような気がするのですが、実際はどういう病気なのか教えてください。

波多江正紀Dr: エイズというのは、HIVというエイズウイルスが感染すると、生体内の免疫担当細胞が破壊されるため免疫機能が極度に低下して、さまざまな外敵から自分の体を守れなくなり、重症の感染症や癌にもかかりやすくなります。
放置しておくと最終的には死にいたることもある病気です。

二見いすず: 死にいたることもあるとは、本当に怖い病気なんですが、どういった経路で感染するのでしょうか。

波多江正紀Dr: 性交渉や血液から感染します。
輸血ですね。
先週までお話した性感染症と同じく、不特定多数の方との性交渉を行ったりすると、感染する可能性は高くなります。
この場合も、性行為をするときにはコンドームをつけることが予防につながります。
ただし、エイズ感染に関して誤った知識も多く、それに流されると無用な差別も起こりかねません。
日常生活を行う分には感染することはないということは知っておいていただきたいと思います。
例えば、エイズに感染している方と一緒にお風呂に入っても感染はおこりません。
やはり、性行為の際に注意することが最も大切なポイントだと思います。

二見いすず: 分かりました。
エイズに治療薬ができた、と耳にしたことがあるのですが・・・。

波多江正紀Dr: 数年前まではエイズは不治の病と言われて非常に怖い病気でした。
現在研究が進み、進行させないというお薬が開発されてきました。
慢性疾患のような経過をたどるような病気になってきました。

二見いすず: ということは薬で治すことができるようになったということでしょうか。

波多江正紀Dr: 治すというより、病状が進まない、進行させないといった方がいいかもしれません。
エイズに感染した人は、その薬を飲み続けることで、エイズによる免疫不全をくいとめることができるようになり、エイズが原因で死に至ることは少なくなってきております。

二見いすず: 以前に比べると、普段の日常生活を長く続けることができるようになったということでしょうか。

波多江正紀Dr: そうですね。
ただし、現在の薬は、一生きちんと飲み続けることが必要で、万が一自分の判断で飲み控えたり、例えばひと月飲まないとかいうことがあったりすると耐性ができて、効かなくなるということもあります。

二見いすず: はい。薬があるとはいえ、大変な病気に変わりはありませんね。
ひとごとだと考えず、エイズという存在を忘れてはいけないと思います。
今週は、エイズについて鹿児島県医師会の波多江 正紀(はたえ まさゆき)ドクターにお話を伺いました。
来週も引き続き、エイズについて伺います。
ありがとうございました。

波多江正紀Dr: ありがとうございました。