2007.3.10
第202回放送分『耳』 ゲスト:鯵坂孝二ドクター


二見いすず: 今月は耳の病気について、鹿児島県医師会の鯵坂孝二(あじさかこうじ)ドクターにお話を伺っています。
先週は『急性中耳炎』は、どのようにして起こるかというお話を伺いました。
今週は、その治療法についてお願いいたします。

鯵坂孝二Dr: 急性中耳炎は、鼓膜が膨れ上がるまで膿が溜まってしまう病気です。
その膿を排出してやれば痛みは劇的に弱くなります。
そのため、一番早くて、効き目があるのが鼓膜切開です。
『切る』と言うとちょっと恐ろしい気がするでしょうが、方法としては顕微鏡で見ながら、注射針のような物で、鼓膜にせいぜい1〜2mm程度の切開を加えるだけです。
鼓膜の状態や患者さんの希望にもよりますが、すでに耳が痛い状態ですから、そのまま麻酔をせずに切開を加える場合と、10分間程時間をかけて鼓膜麻酔をしてから行う場合があります。

二見いすず: 鼓膜切開をすると、どうなるのでしょうか?

鯵坂孝二Dr: 鼓膜がパンパンに膨れ上がっていると、切開した瞬間に、その孔(あな)から鼓膜の内側に溜まっていた膿やガスが噴き出して来ます。
さらに細長いストローの様な物で、孔から溜まっている物を吸い出します。
そうすると、痛みも引いて、耳の詰まった感じも無くなり、聞こえも良くなります。

二見いすず: それは、患者さんにとっても楽になりますね。

鯵坂孝二Dr: そうです。
しかも一般的には、切開をした方が痛みも軽く、発熱も抑えられ、経過も良好な場合が多いのです。

二見いすず: そうですか。
切開後は、どうしたらよいでしょうか?

鯵坂孝二Dr: 鼓膜の内側に溜まっている物を出すために切開した訳ですから、耳から汚い汁が出てきます。
これを綿棒か、テッシュで作ったコヨリで出来るだけ吸い取って下さい。
その後、1日2回、1回につき5滴前後の点耳液を垂らして、1分間程しみこませます。
薬の使用法を書いたものには10分間と書いてあるかも知れませんが、1分間で効果は十分だと確かめられています。

二見いすず: そして加えて内服薬が処方される訳ですね。

鯵坂孝二Dr: はい。薬の種類によって1日1回から2〜3回、食後に内服するパターンが多いのですが、こちらの方は診察した先生の指示にしっかり従ってください。
最近、抗生剤に対して抵抗力の強い細菌の出現が騒がれています。
自己判断で、お薬の内服を勝手に途中で止めたりするとそれを助長することになります。

二見いすず: そうですね。
お薬の内服は、お医者さんの指示に従うことが大切ですね。
今日は、ここでお時間になってしまいました。
来週は、急性ではない『中耳炎』についてお訊ねしたいと思います。
鯵坂さん、ありがとうございました。