2007.3.31
第205回放送分『耳』 ゲスト:鯵坂孝二ドクター


二見いすず: 耳の病気について鹿児島県医師会の鯵坂孝二あじさかこうじ)ドクターにお話を伺っています。
今回は『感音性難聴』についてお話しいただきます。

鯵坂孝二Dr: はい。
神経そのものが悪くて聞こえない『感音性難聴』は、誰でもなる可能性があります。
そう言うと驚かれるでしょうが、神経の老化で起こる『老人性難聴』も『感音性難聴』の一つです。

二見いすず: 言われてみればそうですよね。

鯵坂孝二Dr: 『老人性難聴』では、アラームなどのピーピーいう高い方の音から聞こえにくくなり、人ごみやうるさい場所での言葉が聞き取りにくくなってきます。
かん高い早口の会話や会合など大勢での会話が、何か喋っているのは分かりますが、何と言っているのかが判らなくなるのです。
案外、悪口などをボソボソと低い声で喋っているのが聞こえますので『勝手耳(かってみみ)』などと言われたりします。

二見いすず: そうだったんですか。
音の高さで違うのですね。
周りでできることはありますか。

鯵坂孝二Dr: 口が見えると、その動きである程度判断出来ますから、相手の目を見てやや低い声でゆっくり、はっきり喋ると判りやすいと思います。
身振り、手振りのボディーランゲッジもぜひ加えて下さい。

二見いすず: 感音性難聴の他にはどの様な場合がありますか?

鯵坂孝二Dr: 大きな音を聞いた直後にしばらく難聴を起こす『音響外傷』や、年中大きな音を聞いているために起こる『騒音性難聴』があります。

二見いすず: 運動会の駆けっこで、ピストルの音を近くで聞くとキイーンと耳鳴りがして、しばらく聞こえが悪くなりますよね。

鯵坂孝二Dr: そうです。
多くは一時的に聞こえの神経が麻痺しているのですが、難聴の状態が数日続く場合もあります。
スタート係の人には耳栓の着用をお勧めします。

二見いすず: そういえば、電車などで若い人が、ヘッドホンやイヤホンでシャカシャカ音楽を聴いているのを見かける事があります。

鯵坂孝二Dr: 周囲の人にはあまりうるさくなくても、本人の耳にとってはかなり大きな音を聞き続けていることになります。
その状態を長く続けると、特定の音域から聞こえが悪くなっていきます。

二見いすず: ある日突然に、耳の聞こえが悪くなる病気があると聞いた事があります。

鯵坂孝二Dr: はっきりした原因は不明で突然に発症するので『突発性難聴』と言います。
程度は様々で、軽度の場合は耳が詰まった感じがして耳鼻科を受診し、聴力検査で難聴の存在がわかる程度のものから、全く聞こえなくなっている場合、めまいや耳鳴りを伴う場合もあります。
現在は確立した治療法は無いのですが、分っているのは、発病してから2週間以上ほっておくと非常に治りが悪いという事です。
治療開始が早ければ早い程、治りは良くなります。

二見いすず: 具合が悪くなったら、早めに病院を受診したほうが良い、という事ですね。
鯵坂さん、5週にわたって耳に関するお話をして頂き、有り難うございました。