2007.5.5
第210回放送分『五月病』 ゲスト:鮫島秀弥ドクター


二見いすず: 五月に入りました。
爽やかな季節なのに、なぜかやる気がでないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今月は、そんな無気力な状態になってしまう「五月病」について、鹿児島県医師会の鮫島秀弥(さめしま ひでや)ドクターにお話を伺ってまいります。
鮫島さん、よろしくお願いいたします。

鮫島秀弥Dr: はい、よろしくお願いいたします。

二見いすず: まず、「五月病」というのはいったいどういうものなんでしょうか?

鮫島秀弥Dr: はい、そうですね。
「五月病」は、学生や新入社員などが、新しい環境に飛び込んだものの、その変化についていけず、無気力になったり、眠れなくなったり、不安を感じたり、食欲不振になったりする症状のことを言います。
ただし、医学的には「五月病」という表現はなく、正式には大部分は「適応障害」、一部は「社会不安障害」などが含まれていると考えられます。

二見いすず: はい、わかりました。
「五月病」というのは、やはり五月に起きやすいものなんでしょうか。

鮫島秀弥Dr: はい、そうですね。
日本では、入学、進級、入社、転勤など、環境の変化が起こるのが4月ですので、新しい生活に飛び込んでみて、最初のうちは一生懸命張り切ってみるものの、少しずつ心が疲れはじめるのが5月ごろという訳です。
環境の変化の中でも、特に人間関係などに悩む場合が多いようです。

二見いすず: はい、四月から新年度がスタートということを考えますと、そういう意味の「五月病」ということなんですね。
では鮫島さん、どんな人が「五月病」になりやすいんでしょうか?

鮫島秀弥Dr: はい、タイプで言いますと、几帳面な方、真面目な方、イヤと言えずに引き受けてしまう方、責任感の強い方、自分の意見を上手に言えない方、そういう方に多いようです。

二見いすず: お聞きしてますと、いわゆる「いい人」ということになりますよね。

鮫島秀弥Dr: はい、そうなんです。
「五月病」が原因で、無気力になってしまったとき、周囲から見ますと、もしかしたら「怠けているのではないか」と見られるかもしれません。
しかし、本当に怠け者の人は逆に言えば、「五月病」にはならない、とも言えると思います。

二見いすず: なるほどそうですね。
無気力になったからといって、自分は怠けているんじゃないかと自分を責めてはいけませんね。

鮫島秀弥Dr: そうですね。
あまり自己嫌悪を感じたりせずに、無気力あるいは不安を感じている方は、「ひょっとしたら自分は五月病かも・・・」と考えてみていいかもしません。

二見いすず: 「五月病」は、「うつ病」の症状と似ているような気がするんですが、そのあたりはいかがなんでしょう?

鮫島秀弥Dr: そうですね。
五月病をほおっておくと、うつ病へ進行してしまうケースもあります。

二見いすず: それはちょっと怖いことです。
来週は、五月病の予防法について引き続き鮫島さんにお話をして頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

鮫島秀弥Dr: ありがとうございました。