2007.5.19
第212回放送分『五月病』 ゲスト:鮫島秀弥ドクター


二見いすず: 今月は「五月病」について、鹿児島県医師会の鮫島秀弥(さめしま ひでや)ドクターにお話を伺っています。
鮫島さん、今週もよろしくお願いいたします。

鮫島秀弥Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 「五月病」は、ほおっておくと「うつ病」に進行するという風にお話をお伺いしました。

鮫島秀弥Dr: そうなんです。
例えば、車のガソリンタンクに例えてみましょう。
「五月病」は、タンクの底にガソリンが少しだけ残っている状態。
そして、「うつ病」は、ガソリンが全く入っていない状態ということになります。
エンジンは正常でもガソリンが足りなくなり、馬力が出なくなった状態と考えて下さい。
それが時々起こるのが「五月病」、持続的に常にいつも起こるようになった状態が「うつ病」と言えると思います。

二見いすず: ガソリンが少し残っているときに補充をすればまた動き出しますが、全くなくなってしまうと、もう動くことができなくなりますね。

鮫島秀弥Dr: そうですね。
「五月病」の段階ですと、休みをとったり、生活リズムを変えたり、上手にストレス解消することで改善できますが、ガソリンが完全に空になってしまった「うつ」の状態になりますと、ちょっとした気分転換ぐらいでは、なかなか回復しなくなります。

二見いすず: それはたいへんなことで、そうならないうちに早く手を打ちたいところですが、では「うつ病」になると、どんな状態になるのでしょうか。

鮫島秀弥Dr: 意欲低下、ゆううつ感、興味の喪失、食欲低下、そういうものが出現してきます。
さらにひどくなりますと、自殺を考えてしまう自殺念虜、と私どもが言っておりますが、そういう考えが頭を占めるようになります。
そして、社会生活に支障が出てまいります。

二見いすず: 今のお話をうかがっていますと、ガソリンがすっかり空になってしまう前に、やはり、「五月病」かなと思ったら、きちんと早めに対処しておくことが必要だということですね。

鮫島秀弥Dr: そうです。
前回もお話しましたが、休みをとったり、規則正しい生活を心掛けて、ご自分の力で改善していくのはもちろん大事ですが、専門医の診断を受けて、適切な治療を行うことも必要です。
ときどき、「五月病」ぐらいで病院へ行ってもいいだろうか、などと考える方もいらっしゃるようですが、放置しておいて悪化することは避けていただきたいと思います。

二見いすず: そういうことで言えば、自分は「五月病」ではなかろうか、ちょっといつもと違うなということに気付くということも大事なことですね。
無気力、不眠、不安、食欲不振などを感じて、「五月病」かなと思ったら、生活を改善して回復を目指すとともに、悪化をさせて「うつ病」にならないように、専門の医療機関で適切なアドバイスを受けることが大切だと思います。
来週は、家族が「五月病」になってしまったときの対処についてお話をおうかがいします。
鮫島さん、どうもありがとうございました。

鮫島秀弥Dr: ありがとうございました。