2007.5.26
第213回放送分『五月病』 ゲスト:鮫島秀弥ドクター


二見いすず: 今月は「五月病」について、鹿児島県医師会の鮫島秀弥(さめしま ひでや)ドクターにお話をお伺いしています。
鮫島さん、今週もよろしくお願いいたします。

鮫島秀弥Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 最終日の今日は、家族が「五月病」になった場合の対処についてお伺いしたいと思いますが、どのようにしたらいいのでしょうか。

鮫島秀弥Dr: はい、「五月病」は、けがや例えば数字で表わせる肝機能の検査のデータのように目に見える病気、あるいは目に見える状態ではありませんから、無気力な状態になっている家族の姿を見て、よく怠けているのではないかと思ってしまうことがあります。

二見いすず: ついついそうなりますと、「なまけちゃだめじゃないの」と言ってしまいそうになりますね。

鮫島秀弥Dr: そうですね。
しかし、「五月病」は、前回もお話しました通り、怠け者の人がなるのではなく、むしろ、物事に真面目に取り組むタイプの方が、環境の変化に適応できずになってしまうというケースが多いですので、ご本人が一番あせりを感じていると思います。

二見いすず: そこへもってきてご家族が「もっと頑張らないといけないよ」なんて言ってしまったら、ますますご本人はプレッシャーを受けることになりますね。

鮫島秀弥Dr: その通りです。
家族の方の中には、無気力、不眠、食欲不振などの「五月病」の症状が見られたら、励ます、あるいは奮い立たせるというような意味で叱咤激励される方がいますが、むしろそれよりも「ぼちぼちやればいいじゃないか」、あるいは、「できる範囲でいいんだよ」と、肩の力が抜けるような言葉をかけてあげてくださることが非常に役に立つと思います。

二見いすず: ご家族もゆったりとした気持ちで見守ってあげれば、ご本人のあせりも落ち着いてくるのかもしれませんね。

鮫島秀弥Dr: そうですね。
やはり、心の病気の問題は、家族のご理解が不可欠です。
優しく見守りながら、家族といっしょに過ごす時間を増やすような工夫をしたり、あるいは会話を楽しむように心掛けることで、「五月病」で苦しんでいる方の心の負担も悩みも軽くなっていくのではないでしょうか。

二見いすず: よく分かりました。
今月は、新しい環境の変化に適応できずにやる気が出なくなってしまう「五月病」について、4週にわたってお話をおうかがいいたしました。
やはり鮫島さん、休息や規則正しい生活を心掛けて、ストレスとうまく付き合っていくこと、そしてそれでも症状が改善しないときには専門医に相談することが大切ですね。

鮫島秀弥Dr: そうです。

二見いすず: 家族が「五月病」になってしまったら、本人が苦しい状態だということを理解して、優しく見守り、肩の力が抜けるような、そんな言葉をかけてあげていただきたいと思います。
  今月は、「五月病」についてお話をおうかがいしました。
4週にわたり鮫島さん、貴重なお話をありがとうございました。

鮫島秀弥Dr: こちらこそありがとうございました。