二見いすず：	今月のドクタートークは、「感染性胃腸炎」について、鹿児島県医師会の南武嗣（みなみたけつぐ）ドクターにお話を伺っています。 南さん、どうぞよろしくお願いいたします。
南　武嗣Ｄｒ：	よろしくお願いします。
二見いすず：	先週のお話は感染性胃腸炎にはウイルス性と細菌性があり、今の時期は特にウイルス性の「ノロウイルス」に対する注意が必要だということでした。 今週はノロウイルスについて詳しくお願いします。
南　武嗣Ｄｒ：	はい。 ノロウイルスに感染しても、健康な成人なら症状は軽く、3日ほどでよくなるケースが多いようです。 しかし子どもやお年寄りは注意が必要です。 お年寄りがノロウイルスで亡くなったニュースも取り沙汰されました。 体力の落ちているお年寄りは嘔吐物をのどに詰まらせて窒息したり、肺炎になったりと命に関わる場合もあるのです。 また、子どもはすぐに脱水症状を引き起こす恐れがあります。
二見いすず：	ところで、ノロウイルスは二枚貝に含まれていると聞いたことがあるのですが。
南　武嗣Ｄｒ：	はい。 生の二枚貝にはノロウイルスが含まれている可能性があります。 食べる時には十分に火を通してください。 調理の際に使った包丁やまな板もしっかりと消毒したほうがよいでしょう。 また、食べ物からの場合と、保育園、幼稚園や学校、そしてお年寄りの施設などで人から人へ感染する場合もあります。
二見いすず：	もし感染したら、どのくらいで症状が表れるのでしょうか。
南　武嗣Ｄｒ：	ノロウイルスの場合、感染から1日または2日してから、突然の嘔吐で始まることが多いようです。 嘔吐は1日4〜5回に及ぶこともあり、腹痛もともないます。 その後で下痢の症状がでてきます。
二見いすず：	治療はどのように行われますか？
南　武嗣Ｄｒ：	残念なことに直接的な治療法はありませんが、医療機関へご相談いただければ、ナトリウムの入ったイオン飲料で対処療法を行い、嘔吐や下痢による脱水症状などを軽くして対処します。
二見いすず：	ナトリウム入りのイオン飲料ですね。
南　武嗣Ｄｒ：	はい。 嘔吐や下痢などの症状で、体は大量のイオンを失ってしまいます。 それを補うために水分とイオンを補給してください。 市販されているナトリウム入りのイオン飲料でもいいですし、調剤薬局では高濃度のナトリウムが入ったイオン飲料も販売されています。 飲み方としては、約5分おきに少しずつ飲むと効果的でしょう。
二見いすず：	体力のある健康な成人の場合、3日くらいで症状が軽くなるということでしたが、ウイルスもなくなったということでしょうか。
南　武嗣Ｄｒ：	いいえ、症状が軽くなったといってもウイルスがなくなったというわけではありません。 ウイルスは約1週間、便から排泄されています。 治ったと思って注意を怠っていると、ウイルスがまわりの人に感染してしまう恐れがあるのです。
二見いすず：	症状が落ち着いてからもしばらくは感染について、注意が必要ということですね。 お話は鹿児島県医師会の南武嗣（みなみたけつぐ）ドクターでした。 ありがとうございました。
南　武嗣Ｄｒ：	ありがとうございました。