2007.8.4            第223回放送分『熱中症』 ゲスト:有村敏明ドクター



二見いすず: ドクタートークは、「感染性胃腸炎」について、鹿児島県医師会の南武嗣(みなみたけつぐ)ドクターにお話を伺っています。
南さん、どうぞよろしくお願いいたします。

南 武嗣Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、ノロウイルスの症状や対処法を伺いました。
ほかに注意すべきことはありますか。

南 武嗣Dr: はい。
特に注意が必要なのは、感染者の嘔吐物や下痢の処理をするときです。
これらにはノロウイルスが大量に含まれていますので、周りの人に感染しないよう注意して下さい。
例えば床に吐かれた嘔吐物を処理する時は、使い捨てマスク、ビニールやラテックスの手袋をはめて、使い捨てペーパーでふき取ってください。
使用した手袋やペーパーなどはビニール袋に入れて、そのまま処分して下さい。

二見いすず: 密封して処分したほうが良さそうですね。
嘔吐物が吐かれた床はどうしたらいいのでしょう。

南 武嗣Dr: 台所用漂白剤を水で50倍くらいに薄め、この液にひたしたペーパーを10分ほど置いて消毒し、拭き取るという方法があります。
ただし、床やカーペットが色落ちする場合がありますので、注意してください。
また、このときノロウイルスが空気中に浮遊し、感染する恐れがありますので、部屋の換気も忘れずに行いましょう。

二見いすず: よくわかりました。
さて、ここまでノロウイルスを中心にお話を伺いましたが、ここからは細菌性が原因で起こる感染性胃腸炎についても少しだけお話をお聞きしたいと思います。

南 武嗣Dr: 細菌による感染性胃腸炎として有名なのが、サルモネラ菌や病原性大腸菌によるもので、代表的なものに「O-157」が挙げられます。

二見いすず: 「O-157」は夏になるとよく耳にします。
10年ほど前に小学校給食が原因で集団発生しましたが、やはり食べ物から感染するのでしょうか。

南 武嗣Dr: そうです。
さまざまな食品が原因として考えられ、限定することはできませんが、特に注意が必要なのが生の肉類です。
洗浄や十分に火を通すなど衛生的な取り扱いを心がけてください。

二見いすず: O-157にはどのような症状が表れるのでしょう。

南 武嗣Dr: O-157の潜伏期間は、一般的に3日から1週間といわれています。
水のような下痢を繰り返し、下痢が著しい血便に変わっていきます。
また、激しい腹痛もともない、お子さんなどは転げまわって痛がることもあります。
悪化すると脳障害や腎障害を引き起こし、命に関わる場合もありますので、激しい腹痛、血便などの症状が出たらすぐに医療機関へご相談下さい。

二見いすず: わかりました。
O-157の場合も、ノロウイルスの場合も、お腹が痛くなるだけだと考えてしまいがちですが、注意するべきことがたくさんあるのですね。
日ごろから手洗いを徹底して、料理をするときは、食材に十分火を通すということも心がけたいと思います。
3週にわたり、感染性胃腸炎についてお話を伺いました。
お話は鹿児島県医師会の南武嗣(みなみたけつぐ)ドクターでした。
貴重なお話をありがとうございました。

南 武嗣Dr: ありがとうございました。