『摂食障害』 ゲスト:武井美智子ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、「摂食障害」について、鹿児島県医師会の武井美智子(たけいみちこ)ドクターにお話を伺っています。
武井さん今週もよろしくお願いいたします。

武井美智子Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、摂食障害のうち、拒食症について伺いました。
10代からの若い層の方々が、ダイエットなどをきっかけに、拒食症になってしまうことがあるということでしたね。

武井美智子Dr: はい。
何らかの原因でいったんやせると、周囲の人たちに「やせた」と注目され、その喜びが忘れられず、やせすぎているのにダイエットを止められなくなってしまうというのが代表的です。

二見いすず: 十分やせていても、ご本人は自覚がないということでしたね。

武井美智子Dr: はい。
この病気は、もともと自己に対する評価が低い人がなりやすい傾向があるようです。
つまり、すばらしい個性や魅力を持っているのに、自分に自信がもてず、モデル並にやせることで自信を取り戻そうと、ひたすらダイエットを続けてしまうのです。

二見いすず: なるほど・・・。
拒食症は標準体重の85%以下が目安ということでしたが、かなりやせてしまっているので、健康面にも影響が出そうですね。

武井美智子Dr: はい。
拒食症になると、食事をとらないことや食べても吐いてしまうことで、半飢餓状態になります。
その結果、体に反応が出ます。
例えば、無月経やむくみが出て肺や心臓のまわりに水がたまったり、歩けなくなったりします。
有名なカーペンターズのカレンのように亡くなる例もあるんですよ。

二見いすず: なるほど。
では、半飢餓状態になるとどうなるのでしょうか。

武井美智子Dr: 体温が低くなり、寒がりになって、脈も遅くなります。
やせが進むと、動きや考えるのがゆっくりになり、体力が落ちたりします。

二見いすず: なるほど。
日常生活にも支障が出そうですね。
では、治療はどのように行うのでしょうか。

武井美智子Dr: はい。
まず、心療内科などで診察を受けて、発症した原因について調べます。
治療方法は、規則正しい生活と、食べられる程度の少量から3食きちんと摂る習慣を身につけながら、発症の原因や持続要因にカウンセリングなどで対処していきます。
気持ちがコントロールしやすくなるようにお薬を使う場合もあります。

二見いすず: なるほど。

武井美智子Dr: しかし、拒食症の患者さんは、自分ではやせすぎている自覚や病気という自覚がない場合も多く、医療機関へも行きたがりません。
しかし、治療は、早期発見早期治療がポイントです。
ご家族や友人で極端に体重が減ってきた人がいたら、周囲が医療機関へ連れて行くなどして、治療をすすめることが大事です。

二見いすず: よく分かりました。
ありがとうございました。

武井美智子Dr: ありがとうございました。