『摂食障害』 ゲスト:武井美智子ドクター



二見いすず: ドクタートークは、「摂食障害」について、鹿児島県医師会の武井美智子(たけいみちこ)ドクターにお話を伺っています。
武井さん、最終日の今日もよろしくお願いいたします。

武井美智子Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: これまで拒食症、過食症という摂食障害についてお話を伺ってきました。
拒食症から過食症へ移行するというパターンもあるそうですね。

武井美智子Dr: はい。
拒食症で食事をとらなかったりすると、半飢餓状態になってしまいます。
すると、「やせたいから食べないようにしよう」と思う心とは裏腹に、生命を守りたいという身体の欲求から、栄養をとるために、食べ物に異常な関心を持ち、過食に転じる場合がしばしばあります。

二見いすず: なるほど。
すると、拒食から過食へと移行してしまう、ということですね。

武井美智子Dr: はい。
しかし、心ではまだ「やせなければ」と葛藤しているので、食べては吐くという行為を繰り返してしまうのです。

二見いすず: なるほど。

武井美智子Dr: また、過食症から拒食症に変わる場合もあります。
例えば、過食・嘔吐している人を入院させたら、途端に吐かなくなったものの、食事を取らなくなって拒食症に転じることもしばしばみられます。

二見いすず: なるほど。
拒食症と過食症は相互に移行することもある、互いに関係の深い疾患なのですね。
どちらもできるだけ防ぎたいものですが、原因もさまざまで、幼い頃の問題等で発生するケースもあると伺うと、なかなか予防が難しい病気でもありますね。

武井美智子Dr: そうですね。
小さいときの親とのコミュニケーションのすれ違いによって、社会性が育たず、摂食障害の発生につながっていることもあります。
ですから、親御さんは、子どものよいところを認めて伸ばし、お子さんが自分の気持ちを素直に表現できるように育てていただきたいと思います。

二見いすず: そうですね。

武井美智子Dr: 児童虐待は、子どものときの苦しみだけでなく、大人になっても心の傷が癒えず、拒食症、過食症につながることがあるということをしっかり認識し、虐待をやめて子供の良い所を認め、伸ばして育てていただきたいと思います。

二見いすず: そうですね。

武井美智子Dr: また、前回もお話しましたが、拒食症・過食症は、早期発見早期治療がとても大切な病気です。
治療が遅れると、合併症がおき、治療が難しくなってしまいます。
周囲の方で、極端に体重が減っている方、ストレスを抱えていて食事をいっしょにとりたがらない方、手の甲に吐きダコができている方などがいたら、ぜひ一緒に専門の医療機関へご相談いただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
家族や友人などのサポートも大切ですね。
武井さん、5週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。

武井美智子Dr: ありがとうございました。