二見いすず: 今月のドクタートークは、「アルコール依存症」について、鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもとたかひろ)ドクターにお話を伺っています。
竹元さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。

竹元隆洋Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 前回のお話で、アルコール依存症とは、飲酒行動を自分でコントロールできない病気、とのことでした。
では、アルコール依存症になると、どのような症状が起こってくるのでしょうか。

竹元隆洋Dr: アルコール依存症になり、脳の求めるままにアルコールを飲み続けると、身体的・精神的・社会的にいろいろな病気や障害がおこってきます。

二見いすず: 身体的な症状とはどのようなものでしょうか。

竹元隆洋Dr: はい。
アルコールは全身をめぐりますから、全身の病気がおこってきます。
たとえば自分の適量以上にお酒を飲むと胃の内部を胃酸から守っている物質「ムチン」を溶かしてしまいます。
すると、胃酸が直接胃壁についてしまい、胃を荒らして胃潰瘍になってしまいます。

二見いすず: なるほど。

竹元隆洋Dr: また、人それぞれに肝臓が分解できるアルコールの量は決まっているのですが、それを超える量のアルコールを飲み続けると、肝臓は疲れ果てて、アルコール肝炎や肝硬変になってしまいます。

二見いすず: 怖いですね・・・。
そのほかにどのような身体症状がありますか?

竹元隆洋Dr: はい。
まず手足のふるえや脱力や麻痺などの神経症状が起こり、さらに、循環器系の病気がおこります。
血管が拡張して弾力を失い、突然パチンと切れて吐血、下血、脳出血のきっかけになったり、動脈硬化が進行して心臓に負担を与えることにもなります。

二見いすず: そうなんですね・・・。
では、精神的な病気とはどのようなものでしょうか。

竹元隆洋Dr: 依存症になって症状が重くなると、仕事も家庭もどうなってもよいと考えるようになってひたすらお酒を求め続けます。
まず、性格・人格のレベル低下や幻覚・妄想なども出現します。
特にうつ病との合併が多く、今問題になっている自殺が多発しています。

二見いすず: はい。

竹元隆洋Dr: 厚労省の調査で精神的病気で起こる自殺はまずうつ病、次に統合失調症、アルコール依存症の順で、アルコール依存症の対策に厚労省も今年4月から本気で取り組むようになりました。
その結果、全国に34の病院を実習病院と決め、すでに医師や看護師、精神保健福祉士などの実習が始まりました。

二見いすず: 自殺にも関係があるとうかがって、アルコール依存症の怖さをあらためて感じました。
お話は、鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもとたかひろ)ドクターでした。
ありがとうございました。

竹元隆洋Dr: ありがとうございました。