2011.6.11 第423回放送分 『食中毒』 ゲスト:南武嗣ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、この時期には特に注意したい「食中毒」について、鹿児島県医師会の南武嗣(みなみたけつぐ)ドクターにお話を伺っています。
南さん、今週もよろしくお願い致します。

南 武嗣Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: 先週は、食中毒の原因には、ウイルス性と細菌性のものがあり、細菌性のものには、毒素型と感染型という2種類があること。
そして、毒素型は感染してすぐに発症し、感染型は数日経ってから発症するという特徴があることを伺いました。

南 武嗣Dr: そうですね。

二見いすず: そして、先日の生肉による食中毒の原因となった「O-111」や「O-157」も、この感染型の細菌で、重い中毒症状を起こす腸管出血性大腸菌であることが分かりました。

南 武嗣Dr: その通りです。

二見いすず: はい。
では、今週は、重い中毒症状を起こす「O-157」、「O-111」について、詳しく伺いたいと思います。
「O-157」、「O-111」は、なぜこのように重い症状につながるのでしょうか。

南 武嗣Dr: はい。
「O-157」、「O-111」も大腸菌の一種です。そもそも、大腸菌というと、もともと人間の体の中にある菌ですし、食物繊維の消化を助けたり、ビタミンKを作り出すなどの働きをする、いわゆる「善玉菌」なのです。

二見いすず: なるほど。
では、「O-157」、「O-111」はどうして、そういった重い症状につながるのでしょうか。

南 武嗣Dr: はい。
牛の腸などには、人間と同じように大腸菌があるのですが、それらは、牛にとっては「善玉」であっても、人に感染すると、下痢を起こしたり、腎臓や脳神経などに悪影響を及ぼしたりする「悪玉」になってしまうことがあるのです。
これを「病原性大腸菌」といいます。

二見いすず: なるほど。
「病原性大腸菌」、ですね。

南 武嗣Dr: はい。
そして、「O-157」、「O-111」は、病原性大腸菌の中でも、腎不全や脳症の原因になるものとして「腸管出血性大腸菌」と言われています。

二見いすず: なるほど。
これらが、重い中毒症状の原因となる、ということなんですね。

南 武嗣Dr: そうなんです。
「O-157」、「O-111」が人間の体内に入ってから作り出す毒素は、「シガ毒素」と言いまして、赤痢という病気がありますが、その赤痢の毒素と同じものなのです。

二見いすず: 赤痢と同じ毒素ですか・・・。
それは大変怖いですね。
食中毒といっても、深刻な状態につながってしまうことが、納得できました。

南 武嗣Dr: そうですね。
そういった毒素を作る大腸菌ですから、感染しないように細心の注意を払っていただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
来週は、食中毒の予防について、詳しくお伺いしたいと思います。
お話は、鹿児島県医師会の南武嗣(みなみたけつぐ)ドクターでした。
ありがとうございました。

南 武嗣Dr: ありがとうございました。