2012.5.5 第470回放送分『うつ病』 ゲスト:赤崎安隆ドクター



二見いすず: 5月に入りました。
今月のドクタートークは、「うつ病」についてお話をうかがってまいります。
ゲストは、鹿児島県医師会の赤崎安隆(あかさきやすたか)ドクターです。
よろしくお願いいたします。

赤崎安隆Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 5月といいますと、「五月病」という言葉もあり、心の不調が気になる時期でもありますね。
今月のテーマである「うつ病」もよく耳にする病気ですが、あらためてどういった病気なのか教えていただけますでしょうか。

赤崎安隆Dr: はい。
「うつ病」は、ストレスなどで心が疲れきって、気分の落ち込みなどが回復せず、体の不調を感じたり、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。

二見いすず: はい。
ストレスで心が疲れて、落ち込んでしまう…。
そういったことは、誰でも経験がありそうですね。

赤崎安隆Dr: そうですね。
二見さんがおっしゃるように、どなたにでも、何か悲しいことがあったり、失敗をしたりして、落ち込んだり、傷ついたり、不安になったりすることはありますよね。

二見いすず: はい。

赤崎安隆Dr: ただし、ほとんどの場合は、時間がたつと「またがんばろう!」という気持ちになって、立ち直りますが、「うつ病」になると長い間、立ち直ることができないのです。

二見いすず: なるほど。
長い間立ち直ることができない、というのは、具体的にどのくらいの期間、という目安があるのでしょうか。

赤崎安隆Dr: はい。
「うつ病」になると、抑うつ気分が続いたり、落ち込んだ気分やいろいろなことへの興味関心、そして、喜びの感情が減退してしまいます。
それに加えて、眠れない、集中力が下がるなどの症状も出ます。
これらの症状が2週間以上続くと「うつ病」と診断されます。

二見いすず: なるほど。
抑うつ気分や興味関心・喜びの感情の減退に、不眠や集中力低下などが加わって、それが2週間以上続くというのが「うつ病」なのですね。

赤崎安隆Dr: その通りです。
うつ状態のときは、気分の問題ではなく、脳の中で、実際に、神経伝達物質である、セロトニンやノルアドレナリンが減ってしまっている状態になっています。

二見いすず: セロトニンやノルアドレナリンですか。

赤崎安隆Dr: はい。
セロトニンやノルアドレナリンは脳の情報を伝える大切な神経伝達物質です。

二見いすず: なるほど。
それらが減少してしまうから、うつ状態も回復しづらくなってしまうのですね。

赤崎安隆Dr: そうなんです。
「うつ病」は、その方の性格などのことだけではなく、脳のエネルギーが枯れてしまう、誰にでもおこりうる機能的な病気であることをぜひ知っていただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
ありがとうございました。

赤崎安隆Dr: ありがとうございました。