二見いすず: | 12月に入りました。 いよいよ今年も押し迫ってまいりました。 今月のドクタートークは、不活化ポリオワクチンについて、鹿児島県医師会の重森雅彦(しげもりまさひこ)ドクターにお話を伺ってまいります。 重森さん、よろしくお願いいたします。 |
重森雅彦Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 今年9月にポリオワクチンの接種方法が変わった、というニュースがありました。 今月は、このテーマについてお伺いしたいと思います。 重森さん、まず、あらためまして、ポリオとはどのような病気なのでしょうか。 |
重森雅彦Dr: | はい。 ポリオとは、いわゆる「小児まひ」という言い方もされる病気です。 |
二見いすず: | はい。 |
重森雅彦Dr: | ポリオは、中枢神経がポリオウイルスというウイルスに感染することによって引き起こされる急性ウイルス感染症です。 ほとんどの場合は、感染しても発症にいたりませんが、感染者の1%に四肢、つまり、両手、両足に非対称の弛緩性まひが起こります。 |
二見いすず: | 非対称の弛緩性まひとは、どのような状態をいうのでしょうか。 |
重森雅彦Dr: | はい。 弛緩性まひとは、筋肉の緊張がなくなり、力が入らず、だらりとした状態のことを言います。 非対称というのは、両手両足同時に麻痺が起こるのではなく、初めは片方の下肢におこることが多く、続いて、麻痺が進行していくことからきています。 |
二見いすず: | なるほど。 このまひは、長く続いてしまうのでしょうか。 |
重森雅彦Dr: | はい。 実は、小児まひは、一度発症してしまうと、完全に治癒することが難しく、一生涯まひ症状が残ってしまいます。 また、最悪の場合は、呼吸の筋肉がまひして、命にかかわることもあります。 |
二見いすず: | なるほど。 小児まひになると、生涯まひが残り、時には命に関わることもあるのですね。 |
重森雅彦Dr: | その通りです。 |
二見いすず: | ただ、以前耳にしたことがあるのですが、ポリオは、この日本ではもう発生していないと聞いたことがあります。 |
重森雅彦Dr: | はい。 そうなんです。 日本では、1980年の発生を最後に、野生株、つまり自然感染でのポリオの発生は確認されていません。 |
二見いすず: | そうなんですね。 |
重森雅彦Dr: | はい。 日本のポリオの歴史を振り返りますと、1960年にポリオの大流行が起こりました。 そのとき、緊急で生ワクチンを輸入し、普及させたことで、流行をくい止めることに成功しました。 その時から生ワクチンの定期接種が続けられ、現在に至るまで30年以上ポリオが発生していない状態を保っているのです。 |
二見いすず: | なるほど。 生ワクチンの普及により、流行を阻止し、現在の状態につなげているのですね。 よくわかりました。 来週も引き続き、ポリオワクチンについてお話を伺います。 お話は鹿児島県医師会の重森雅彦ドクターでした。 ありがとうございました。 |
重森雅彦Dr: | ありがとうございました。 |