2012.12.8 第501回放送分『不活化ポリオワクチン』 ゲスト:重森雅彦ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、不活化ポリオワクチンについて、鹿児島県医師会の重森雅彦(しげもりまさひこ)ドクターにお話を伺っています。
重森さん、今週もよろしくお願いいたします。

重森雅彦Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週の番組では、ポリオ、いわゆる、小児まひという病気についてのお話と、約50年前に日本でポリオが大流行し、それをくい止めるためにワクチンを輸入して普及させたこと。
そして、現在の日本では30年以上発生していないというお話を伺いました。

重森雅彦Dr: その通りです。

二見いすず: では、本日は、そのポリオワクチンの接種方法が、今年9月に変わったということについて、詳しくお願いしたいと思います。

重森雅彦Dr: わかりました。
今年の9月に変わったのは、ポリオワクチンの定期接種が、これまでの生ポリオワクチンによる集団接種から、不活化ポリオワクチンによる個別接種に移行したことです。

二見いすず: 生ポリオワクチンから、不活化ポリオワクチンに、ということですね。

重森雅彦Dr: そうですね。
この生ポリオワクチンとは、先ほどのお話にも出ました、50年前の大流行をきっかけに普及したワクチンです。
生というのは、生きたポリオウイルスの病原性を弱めたものという意味です。
これまでは、この生ポリオワクチンを口から飲ませる形で接種し、2回飲む必要がありました。

二見いすず: なるほど。
では、今回新しい接種方法として導入された不活化ポリオワクチンとは、どのようなものなのでしょうか。

重森雅彦Dr: はい。
不活化という名前の「活」は、活動の「活」という字です。つまり、不活化というと、“活動していない”という意味ですから、ポリオウイルスを殺したもの、ということになります。

二見いすず: なるほど。
不活化ポリオワクチンとは、ポリオウイルスの病原性を完全になくしたもの、ということなのですね。

重森雅彦Dr: その通りです。

二見いすず: ということは、副反応はいかがなのでしょうか。

重森雅彦Dr: はい。
これまで使われてきた生ポリオワクチンは、接種すると、免疫をつける力が優れている一方で、ごくまれに、日本では、約200万回の接種あたりに1件と言われていますが、ポリオにかかったときと同じ症状が出るという報告があります。

二見いすず: なるほど。
ごくまれにではありますが、そういった反応が出るということですね。

重森雅彦Dr: そうですね。
そこで、重い副反応の心配のない不活化ポリオワクチンが導入されることとなったのです。

二見いすず: なるほど。
なぜ移行されるのかが、よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の重森雅彦ドクターでした。
貴重なお話をありがとうございました。

重森雅彦Dr: ありがとうございました。