二見いすず: | 新年を迎えました。 今年最初のドクタートークです。 今月のテーマは、「アルコール依存症」です。 お話は、鹿児島県医師会の森口進(もりぐちすすむ)ドクターです。 よろしくお願いいたします。 |
森口進Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | お正月には、お酒を飲まれる機会も多かったのではないでしょうか。 また、これから新年会という方もいらっしゃるかもしれません。 今回のテーマ「アルコール依存症」は、このお酒についてのお話です。 森口さん、まず、「アルコール依存症」とはどういった病気なのでしょうか。 |
森口進Dr: | 一口で言いますと、「コントロール喪失」です。 お酒を飲む時間やお酒の量を自分で調節できない状態です。 |
二見いすず: | なるほど。 |
森口進Dr: | 車に例えますとブレーキの壊れた状態です。 この壊れたブレーキは、新品に取り換えもできないし、修理もできません。 お酒をコントロールするブレーキは、2度と効くようになりません。 一生壊れたままです。 |
二見いすず: | ということは、「アルコール依存症」となり、お酒を飲む時間や量をコントロールできない状態に一度なってしまうと、もう二度と元のようにうまくコントロールしながら飲むことができないということなのですね。 |
森口進Dr: | 残念ですが、その通りです。 |
二見いすず: | それはとても怖い病気ですね。 では、実際に、日本では、どのくらいの患者さんがおられるのでしょうか。 |
森口進Dr: | はい。 日本には、230万〜250万人の「アルコール依存症」の方がいると推計されています。 |
二見いすず: | えっ、そんなにいらっしゃるのですか…。 |
森口進Dr: | そうなんです。 一方で、「アルコール依存症」の治療を受けている人は2万人しかいないという現実もあるのです。 つまり、10人に1人しか治療を受けておらず、それ以外の方は、「アルコール依存症」の治療を受けないまま生活されているということです。 |
二見いすず: | それはとても驚きました。 |
森口進Dr: | その理由は、「アルコール依存症」の患者さんは、自分が「アルコール依存症」であることを認めない、という特徴があるのです。 一般的にお酒を楽しむことと、「アルコール依存症」でお酒を飲まざる得ない状況との区別が付きにくいということも原因の一つであるかもしれません。 |
二見いすず: | なるほど。 よくわかりました。 |
森口進Dr: | 「アルコール依存症」は、意志の弱い人がなる病気と考えている方もおられると思いますが、そうではなくどんな人でもかかる可能性があるということをぜひ知っていただきたいと思います。 |
二見いすず: | よくわかりました。 お話は鹿児島県医師会の森口進ドクターでした。 ありがとうございました。 |
森口進Dr: | ありがとうございました。 |