二見いすず: | 今月のドクタートークは、「アルコール依存症」です。 お話は、鹿児島県医師会の森口進(もりぐちすすむ)ドクターです。 今週もよろしくお願いいたします。 |
森口進Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 今回は、「アルコール依存症」の診断基準をお願いします。 |
森口進Dr: | わかりました。 「アルコール依存症」の診断基準は、次の6つの症状のうち、3つ以上あてはまったら、「アルコール依存症」と診断します。 1:お酒を飲みたいという強い願望や切迫感が起こって飲まざるを得ない。 2:飲む時間や量をコントロールできない。 3:飲酒を止めたときに手や体の振るえ、不眠、汗が出る、痙攣、幻覚などの離脱症状が起こる。 4:耐性ができていて、お酒が強くなった。 5:生活がお酒中心になり、他の楽しみや趣味など全くしなくなった。 6:アルコールのために体が悪くなり、肝臓病や糖尿病、高血圧、癌になっても飲酒を続けている。あるいは家庭問題や社会問題が起こっても飲み続けている。 これらの6つの症状のうち、3つ以上あてはまると、依存症と診断します。 |
二見いすず: | わかりました。 |
森口進Dr: | ほかに、「アルコール依存症」特有の症状として、妻への嫉妬妄想、記憶喪失、電話魔、一気飲み、隠れ飲み、また、飲酒運転をしてしまう人も多いようです。 |
二見いすず: | なるほど。 心当たりがある方もおられるかもしれませんね。 |
森口進Dr: | そうですね。 また、「アルコール依存症」の怖さは、アルコールを止めることができないと、体を壊したり、うつになって自殺を考えたり、酔って事故を起こしたりするなど、命に関わってくることです。 |
二見いすず: | なるほど。 |
森口進Dr: | また、家族や友人など、大切な人たちをすべて巻き込んでしまうという特徴もあります。 |
二見いすず: | はい。 |
森口進Dr: | 「アルコール依存症」の患者さんは、家族関係が悪くなり、家庭内暴力を起こしたりします。 家族は、説得したり、叱ったりして、何とかお酒を止めさせようとしますが、かえって飲ませる結果になってしまいます。 |
二見いすず: | えっ、どうしてでしょうか。 |
森口進Dr: | はい。 依存症の患者さんは、家族が助けてくれることに安心し飲み続ける、そして、家族は患者さんを助けることが生活の中心になり、お互いにそれでバランスをとる関係性が成立してしまうのです。 ですから、大きなポイントは、家族は「アルコール依存症」の人の飲酒を止めさせることはできない、ということを知るのがとても重要です。 |
二見いすず: | よくわかりました。 お話は鹿児島県医師会の森口進ドクターでした。 ありがとうございました。 |
森口進Dr: | ありがとうございました。 |