2013.1.26 第508回放送分『アルコール依存症』 ゲスト:森口進ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アルコール依存症」です。
お話は、鹿児島県医師会の森口進(もりぐちすすむ)ドクターです。
今週もよろしくお願いいたします。

森口進Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週のお話のポイントは、家族は「アルコール依存症」の人の飲酒を止めさせることはできない、ということでしたね。

森口進Dr: そうです。
家族が患者さんを心配し、お酒を止めさせようとして説得したり、怒ったりすることで、依存症がどんどんひどくなっていくのです。
ですから、「アルコール依存症」の疑いがあったら、まずは、保健所や医療機関へ相談されることをお勧めします。

二見いすず: 医療機関ではどのような治療が行われるのでしょうか。

森口進Dr: はい。
「アルコール依存症」の治療は、最終的に「アルコールを止める」つまり、一滴も飲まなくなる「断酒」を目指します。
「アルコール依存症」はとても力の強い病気なので、自分の意志で止めることは、まず難しいと思いますので、入院が必要になります。

二見いすず: はい。

森口進Dr: 治療には3つの方針がありまして、1つ目は教育的治療で自分がアルコール依存症であることを認めさせること。
2つ目は自分を変えるということです。
物の見方、考え方を変え、生き方を変え、人生観を変えるということです。
人間が変わらないとアルコールのない生活はできません。
3つ目は自助グループの勉強です。

二見いすず: はい。

森口進Dr: 「アルコール依存症」の方が、一生断酒を継続していくためには、患者さん同士が集まる自助グループの活用が大きなポイントとなります。
病院から退院して普段の暮らしの中へ戻ると、お酒の誘惑はあちこちにあります。
しかし、依存症患者の方がお酒を一杯でも飲めば、依存症の苦しみへ後戻りです。

二見いすず: なるほど。

森口進Dr: ですから、「アルコール依存症」から脱け出し、お酒を一切飲まないという強い意志を持続させるためにも、定期的に同じ境遇の方々と会い、励ましあうことがとても大切なのです。

二見いすず: よくわかりました。

森口進Dr: 「アルコール依存症」になっても、お酒を本当に止めたいと思い、そのためにはなんでもするという意志があれば、必ず止められます。
そして、おだやかな生活ができるようになります。

二見いすず: そうですね。

森口進Dr: 「アルコール依存症」になったら、お酒を止めるしかなくなります。
健康な方は、お酒とのいい付き合いをするために、適量を守った飲酒で休肝日をつくり、楽しく飲んでいただきたいと思います。
また、睡眠薬や精神安定剤等の薬物と一緒に飲むことは、非常に危険ですので、絶対に止めていただきたいと思います。

二見いすず: お話は鹿児島県医師会の森口進ドクターでした。
ありがとうございました。

森口進Dr: ありがとうございました。