2014.8.9 第588回放送分 『食道がん』 ゲスト:松本正隆ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、「食道がん」についてお送りしております。
前回は、夏越祥次(なつごえしょうじ)ドクターに、「食道がん」全体の概要をお話いただきました。
今回からは、「食道がん」の治療をお送りいたします。
今回は、県医師会の松本正隆(まつもとまさたか)ドクターに、「内視鏡的治療」についてお話いただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

松本正隆Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 内視鏡的治療とは、どのような治療なのでしょうか。

松本正隆Dr: はい。
内視鏡、つまり、カメラを使う治療のことですが、主に早期がんの治療を目的とした「内視鏡的切除術」と、切除できない進行がんに対する「ステント治療」があります。

二見いすず: はい。

松本正隆Dr: まず、早期がんの場合、食道がんがどのくらいの深さまで達しているか、リンパ節などに転移していないかをしっかりと診断する必要があります。

二見いすず: なるほど。

松本正隆Dr: 切除術には2つの方法があり、スネアという器具でがんを焼き切って切除する「内視鏡的粘膜切除術」と、がんの部分をマーキングして、ナイフで粘膜の下層部分から切り取る「内視鏡的粘膜下層剥離術」という治療法があります。

二見いすず: それぞれの治療法はどう違うのですか。

松本正隆Dr: はい。
「内視鏡的粘膜切除術」は、比較的短時間で切除ができる一方で、一括して切除できる範囲が限定されるので、大きな病変になると、まれにがんの一部が切除されず、取り残されてしまう危険性があります。

二見いすず: なるほど。

松本正隆Dr: 「内視鏡的粘膜下層剥離術」は、がんの位置をマーキングして、粘膜下層から少しずつ剥離して切り取りますので、比較的時間はかかりますが、がんを確実に取り除くという意味では、より精度が高いと言えます。

二見いすず: よくわかりました。
どちらの内視鏡治療も、基本的には転移のない早期のみ、ということですね。

松本正隆Dr: はい、そのとおりです。
一方、進行した食道がんの方で、がんが大きくなって食べ物が通りにくくなっている場合に、ステントという筒状の器具を挿入する場合があります。
ステントを挿入することで、食べ物を通る道を確保することができます。

二見いすず: なるほど。

松本正隆Dr: 医療技術の進歩で、内視鏡の精度も高くなっています。
特に診断の精度が高まり、血管の構造からがんの状態を知ることまでできるようになってきました。
食道がんが心配な方は、内視鏡で検診をすることをおすすめいたします。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の松本正隆(まつもとまさたか)ドクターでした。

松本正隆Dr: ありがとうございました。