2015.3.7 第618回放送分 『胃がん』 ゲスト:帆北修一ドクター



二見いすず: 3月になりました。
今月のドクタートークは、「胃がん」について鹿児島県医師会の帆北修一(ほきたしゅういち)ドクターにお話をお伺いいたします。
帆北さん、よろしくお願いいたします。

帆北修一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今月のテーマの「胃がん」は、男女を問わず日本人に多いがんだと聞いています。

帆北修一Dr: はい。
1998年に肺がんに追い抜かれるまでは、胃がんが日本人のがん部位別死因の第1位でした。
現在は部位別死因の第2位ですが、罹患率はいまだにトップです。

二見いすず: すべてのがん患者の中で、胃がんの人が毎年一番多く診断されるということなんですね。
では、胃がんになる要因はどのようなものがあるのでしょうか。

帆北修一Dr: 胃がんは、食生活や喫煙などの生活習慣や、ヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染が原因になりうるとされています。

二見いすず: まず、食生活ではどのような点に注意が必要なのでしょうか。

帆北修一Dr: 塩分の多い食品の摂取や、野菜、果物の不足が挙げられます。
胃がんに限らず、あらゆる病気の予防のためにも、塩分は控えめに、野菜、果物はバランスよく食べていただきたいと思います。

二見いすず: わかりました。
では、もうひとつの胃がんの要因である、ヘリコバクター・ピロリ菌についてはいかがでしょうか。

帆北修一Dr: ヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は、日本人の中高年層では非常に高く、若年層では低下しています。
ピロリ菌が存在する胃では、慢性胃炎とくに萎縮性胃炎が多く見られます。

二見いすず: はい。

帆北修一Dr: この萎縮性胃炎が存在する場所に胃がんが多く認められており、今後どのようにして胃がんが発生するのか解明されることになります。
しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているからといって、すべての人が胃がんになるわけではありません。

二見いすず: 万が一、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していた場合は、どうすればいいのでしょうか。

帆北修一Dr: 検査によって、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が認められた場合は、除菌療法と定期的な胃の検診が推奨されます。

二見いすず: 除菌療法というはどのようなものですか。

帆北修一Dr: 抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を服用します。
現在、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法が、胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果が集積されつつあります。
気になる方は、ぜひ医療機関で専門医に相談してみてください。

二見いすず: 自覚症状がなくても、定期的に医療機関を受診し、検診を受けることが大切ですね。

帆北修一Dr: はい、おっしゃるとおりです。
胃がんは早期発見であれば、治癒率の非常に高いがんです。
特に40代以上の方は、年1回の定期検診を習慣にしてください。

二見いすず: よく分かりました。
来週は胃がんの症状や検査について伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の帆北修一(ほきたしゅういち)ドクターでした。
帆北さん、ありがとうございました。

帆北修一Dr: ありがとうございました。