2015.3.21 第620回放送分 『胃がん』 ゲスト:帆北修一ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「胃がん」について鹿児島県医師会の帆北修一(ほきたしゅういち)ドクターにお話を伺っています。
帆北さん、よろしくお願いいたします。

帆北修一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は胃がんの症状や検査の重要性について伺いました。
今週は胃がんの治療についてお話をお願いいたします。

帆北修一Dr: 胃がんの治療は多くの場合、手術治療、抗がん剤による薬物療法、放射線治療などを、単独、あるいは組み合わせて行います。

二見いすず: 手術治療、薬物療法、放射線治療ですね。
それではまず、胃がんの手術治療とはどのようなものでしょうか。

帆北修一Dr: 手術では、胃の切除と同時に周辺リンパ節が取り除かれます。
一般的に切除する範囲が小さいほど、食事を取り入れ、消化するという胃の機能が維持されることになります。
胃の切除後には、残った胃と腸をつないだり、胃を全部切除した場合は、食道と腸をつないで食べ物の通り道を作る再建術式が行われます。

二見いすず: 早期発見であればあるほど、胃の機能が維持され、体への負担も少なくできるのですね。

帆北修一Dr: はい。
大きさが2cm以下の粘膜にとどまるがんで、リンパ節に転移がない場合などには、内視鏡を用いて粘膜を切除する治療が行われます。
また、内視鏡で切除できないケースでも、お腹に小さな穴を空けて、腹腔鏡を入れて胃切除を行う鏡視下手術が適応できる場合もあります。

二見いすず: 従来の手術治療と比較しますと、内視鏡治療や腹腔鏡手術は、傷口の痛みが少なく、術後の回復も早いという印象があります。

帆北修一Dr: はい、おっしゃる通りです。
しかし、これらの治療法は、新しい治療法ですので、すべての効果の評価がまだ十分とはいえない部分や技術的に標準化されていない部分もありますので、治療実績などを担当医に確認された上で検討するといいでしょう。

二見いすず: よく分かりました。
では、薬物療法についてはいかがですか。

帆北修一Dr: 胃がんの薬物療法には2つの役割があります。
1つは手術の効果を高めたり、手術後のがんの再発防止を目的とする術前・術後に行う治療です。
2つ目は、手術でがんを治すことができない場合に、延命と症状緩和を目的として行う治療です。
2000年頃より新規抗がん剤を使うことが出来るようになり、胃がんに対する治療成績がかなり向上してきました。

二見いすず: 抗がん剤は、少し副作用が気になるのですが。

帆北修一Dr: 近年は抗がん剤の改良や吐き気止めの開発により、副作用は軽減されています。

二見いすず: 放射線治療はいかがでしょうか。

帆北修一Dr: 放射線治療は、胃がんの場合、効きにくいことが多いため、主流ではありません。
骨に転移がある場合に痛みをやわらげることを目的に補助的に行うことが多いです。

二見いすず: 胃がんの進行度にあわせて、最適な治療法を選択するためには、担当医ときちんとコミュニケーションをとることが大切ですね。

帆北修一Dr: はい。
しっかりと話し合い、納得したうえで前向きに治療に取り組んでいただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
鹿児島県医師会の帆北修一(ほきたしゅういち)ドクターでした。
帆北さん、ありがとうございました。

帆北修一Dr: ありがとうございました。