2015.5.2 第626回放送分 『認知症』 ゲスト:黒野 明日嗣ドクター



二見いすず: 5月になりました。
今月のドクタートークは「認知症」について、鹿児島県医師会の黒野明日嗣(くろのあすつぐ)ドクターにお話を伺ってまいります。
黒野さん、よろしくお願いいたします。

黒野明日嗣Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 高齢化社会を迎えまして、認知症はよく耳にする病気となりました。
あらためまして、認知症とはどのような病気なのでしょうか。

黒野明日嗣Dr: はい。
認知症とは老化にともなう脳の変性や脳梗塞などによって引き起こされる脳の病気です。
少し詳しく言いますと、もともと正常であった記憶や判断などの認知機能が何らかの原因によって徐々に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態を認知症といいます。

二見いすず: わかりました。
では、その認知機能が低下するというのはどのような状態を指すのでしょうか。

黒野明日嗣Dr: 代表的なもので、記憶力、判断力、思考力の低下や話を理解する能力の低下、学習能力の低下などが挙げられます。

二見いすず: 年を重ねれば、誰もが多少は気になってくることですよね。

黒野明日嗣Dr: はい。
おっしゃる通りですね。
しかし、認知症の場合は年齢を重ねたことによるもの忘れとは異なる症状があります。
例えば、食事をしたこと自体を忘れてしまったり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は認知症の可能性があります。

二見いすず: 年を取ることによるもの忘れと認知症によるもの忘れには根本的な違いがあるということですね。

黒野明日嗣Dr: はい。
そうですね。
認知機能が持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態になると、認知症と診断されます。認知症の前段階と考えられる状態をMCIといいますが、MCIの方すべてが認知症になるわけではありません。

二見いすず: なるほど。
よくわかりました。
日本では高齢化が進んでまいりまして、認知症の患者数が増えているのではないでしょうか。

黒野明日嗣Dr: はい。
認知症の人の数は年々増加傾向にあります。
また、高齢になるに従って、認知症の人の割合も増加しています。
一説によると、65歳以上の15%が認知症を発症しているとされ、85歳以上の男性の4人に1人、女性は3人に1人が認知症であるといわれています。

二見いすず: 85歳になると4人に1人以上が認知症になるということで多いですね。

黒野明日嗣Dr: 超高齢化社会といわれる今、認知症になる可能性は誰にでもあります。
まだ症状が軽いうちに家族が気付き、適切な診断・治療が受けられれば、進行を遅らせたり、症状を軽減することもできます。

二見いすず: 認知症も早期発見・早期診断が大切だということですね。

黒野明日嗣Dr: はい、まさにおっしゃる通りです。
いつもと違う症状に気付けるのも、身近な家族や友人だからこそです。
認知症を疑われる症状に気付いたら一人で悩まず、主治医の先生や専門家にまずは相談されてください。

二見いすず: よく分かりました。
お話は鹿児島県医師会の黒野明日嗣(くろのあすつぐ)ドクターでした。
ありがとうございました。

黒野明日嗣Dr: ありがとうございました。