2015.5.16 第628回放送分 『認知症』 ゲスト:黒野 明日嗣ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「認知症」について、鹿児島県医師会の黒野明日嗣(くろのあすつぐ)ドクターにお話を伺っております。
黒野さん、今週もよろしくお願いいたします。

黒野明日嗣Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、認知症には、中核症状と、行動・心理症状という2つの症状があることをお伺いいたしました。
今週は認知症の種類や原因、治療法について教えていただけますか。

黒野明日嗣Dr: はい。
認知症の代表的な疾患としては、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症などがあります。

二見いすず: アルツハイマー型認知症はよく耳にしますね。

黒野明日嗣Dr: そうですね。
アルツハイマー型が最も多く、認知症の約6割を占めているといわれています。

二見いすず: アルツハイマー型認知症は何が原因で発症し、どのような症状があらわれるのでしょうか。

黒野明日嗣Dr: 脳の中で異常なタンパク質が蓄積されることにより、神経細胞が破壊され、記憶に関する部分が萎縮していきます。
はっきりとした原因はいまだに解明されていないのですが、そのために特効薬といえる治療薬や治療法もないのが現状です。

二見いすず: そうなんですね。

黒野明日嗣Dr: アルツハイマー型認知症の発症と進行は比較的ゆるやかですが、初期の段階で「少し前のことを覚えていられない」という記憶障害が起こるのが特徴です。

二見いすず: レビー小体型認知症はいかがでしょうか。

黒野明日嗣Dr: レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多く、認知症全体の15%ほどを占めています。
症状が進むと、パーキンソン病に似た運動症状があらわれますが、初期段階からの特徴的な症状としては、幻覚が挙げられます。

二見いすず: わかりました。
では、脳血管性認知症とはどのようなものでしょうか。

黒野明日嗣Dr: 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって引き起こされる認知症です。

二見いすず: これまでにお話いただいた認知症は、治療が可能なのでしょうか。

黒野明日嗣Dr: 脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、外科的治療の対象となる認知症もあります。
また、甲状腺ホルモンの異常の場合は内科的な治療で改善します。
しかし、根本的な治療法が確立されていない現代においては、一般的な認知症の完治は難しいとされています。

二見いすず: そうですか。
認知症の完治は一般的に難しいものの、中には治療によって完治する可能性のある症状もあるということですね。

黒野明日嗣Dr: はい、おっしゃる通りです。
一般的な認知症でも薬物療法やリハビリテーションによって、進行を遅らせたり、症状を軽減させることができます。
気になる症状があれば、ぜひ専門の医療機関へご相談ください。

二見いすず: よく分かりました。
なお、来週は認知症の介護についてお伺いいたします。
お話は鹿児島県医師会の黒野明日嗣(くろのあすつぐ)ドクターでした。
ありがとうございました。

黒野明日嗣Dr: ありがとうございました。