二見いすず: | 6月になりました。 今月のドクタートークは「ロコモティブシンドローム」について、鹿児島県医師会の増田吉彦(ますだよしひこ)ドクターにお話を伺ってまいります。 増田さん、よろしくお願いいたします。 |
増田吉彦Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 最近よく耳にするようになったロコモティブシンドロームですが、あらためまして、どのような病気なのでしょうか。 |
増田吉彦Dr: | はい。 ロコモティブシンドロームは、略称でロコモ、日本語で運動器症候群といいまして、2007年に日本整形外科学会で提唱されました。 骨・関節・筋肉・神経など運動器の障害のために、立つ、歩くといった移動能力の低下をきたし、そのまま放置すると寝たきりや介護が必要になる可能性が高い状態のことを言います。 |
二見いすず: | なるほど。 ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害により、介護が必要になるリスクが高まった状態のことを指すのですね。 |
増田吉彦Dr: | はい、その通りです。 現在、ロコモティブシンドロームとその予備軍の数は全国で4700万人にものぼると推計され、新たな国民病とも言われています。 |
二見いすず: | 全国で4700万人ですか! 将来、寝たきりや要介護のリスクを抱えている人がかなり多いということなんですね。 |
増田吉彦Dr: | 加齢による運動器の衰えは、誰にでも訪れるものであるという意味においては、すべての人が予備軍といえます。 しかし、より早い段階から意識して対策することで、健康寿命を延ばすことが可能です。 |
二見いすず: | その健康寿命とは、どういうことですか。 |
増田吉彦Dr: | 健康寿命とは、健康上の問題がない状態で、自立して日常生活を送れる期間のことです。 実はこの健康寿命と平均寿命の間には、男性で約9歳、女性で約12歳の差があります。 |
二見いすず: | 男性でおよそ9歳、女性で約12歳ですね。 その差を知ると、健康な状態で長生きすることの難しさが分かりますね。 |
増田吉彦Dr: | はい。 要支援・要介護状態は健康寿命の大敵です。 実は、要支援・要介護になった原因の第1位は、運動器の障害なんです。 |
二見いすず: | 運動器の健康を維持する、すなわちロコモティブシンドロームを予防することが、健康寿命を延ばすことにつながるということですね。 |
増田吉彦Dr: | はい、その通りです。 運動器の一部である骨や筋肉量のピークは、およそ20代から30代です。 適度な運動で刺激を与え、適切な栄養を摂ることで、骨や筋肉は強く丈夫に維持されます。 |
二見いすず: | 若いうちから適度な運動習慣を身に付けることがロコモティブシンドロームの予防のポイントになりますね。 |
増田吉彦Dr: | いつまでも自分の足で歩き続けていくためにも、ロコモティブシンドロームを予防し、健康寿命を延ばしていく取り組みが必要だと思います。 |
二見いすず: | はい。 よく分かりました。 来週はロコモティブシンドロームの原因や症状について伺ってまいります。 お話は鹿児島県医師会の増田吉彦(ますだよしひこ)ドクターでした。 どうもありがとうございました。 |
増田吉彦Dr: | ありがとうございました。 |