2015.6.20 第633回放送分 『ロコモティブシンドローム』 ゲスト:増田 吉彦ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「ロコモティブシンドローム」について、鹿児島県医師会の増田吉彦(ますだよしひこ)ドクターにお話を伺っております。
増田さん、今週もよろしくお願いいたします。

増田吉彦Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週はロコモティブシンドロームの原因や症状についてお話をお伺いいたしましたが、1つでも症状がある場合は年齢に関わらず医療機関を受診してくださいというお話でしたね。

増田吉彦Dr: はい。
その通りです。
実はいま、大人だけでなく、子どもにまでロコモティブシンドロームのリスクが広がっているんです。

二見いすず: えっ!
子どもにもロコモティブシンドロームがあるんですか。

増田吉彦Dr: はい。
転んだ時に手をつけず、顔を打ってしまう。
雑巾がけの時に体を手で支えきれず、歯を折ってしまう。
倒立ができない上に、倒立する友達を支えきれない。
いま、そんな子どもたちが増えているんです。

二見いすず: そうなんですか。
私たちの世代からすると信じられないような変化が起きているんですね。
子どものロコモティブシンドロームをチェックする方法はあるのでしょうか。

増田吉彦Dr: 両腕を真上にあげられるか、手首を上下に動かせるか、かかとを床につけてしゃがめるか、体前屈をして床に指がつくか、5秒以上片脚立ちができるかが基準です。
1つでもできない場合は、子どもロコモです。

二見いすず: 子どもロコモの原因はどこにあるのでしょうか。

増田吉彦Dr: いまの子どもたちは、体が硬い、バランスが悪い、反射神経が鈍いという傾向があります。
運動不足あるいは使いすぎにより、運動器機能不全をきたして、ロコモティブシンドロームの予備軍になる可能性が高い状態です。

二見いすず: 運動不足が問題である一方、使いすぎという原因もあるのですね。

増田吉彦Dr: はい。
使いすぎ症候群またはスポーツ障害と言われますが、一定の部位に負荷がかかって起こる障害です。
代表的なものでオスグッド病や腰椎分離症、ジャンパー膝などがあります。

二見いすず: 子どもたちの体を守るために、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。

増田吉彦Dr: 子どもさんがスポーツをされているご家庭は、かかと、膝、腰の痛みに注意してください。
状態によっては、親が子どもを休ませることも必要です。
また、急成長の時は、ロコモチェックを行ってください。

二見いすず: では、子どものロコモ対策として、日常生活で心掛けておきたいことはありますか?

増田吉彦Dr: まずは3食バランスのいい食事をとり、適切な運動習慣を身に付けましょう。
子どもの頃からの生活・運動習慣がロコモの予防につながります。
また、学校検診だけでなく、家庭でもロコモチェックを行うなど、早期発見・早期治療につなげる意識が大切です。

二見いすず: お子さんの運動器に痛みがあったり、日常生活に支障をきたす症状が見られる場合は早めに整形外科を受診してください。
お話は鹿児島県医師会の増田吉彦(ますだよしひこ)ドクターでした。
ありがとうございました。

増田吉彦Dr: ありがとうございました。