2015.12.12 第658回放送分 『中耳炎』 ゲスト:牛飼 雅人ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「中耳炎」について、鹿児島県医師会の牛飼雅人(うしかいまさと)ドクターにお話を伺ってまいります。
牛飼さん、今週もよろしくお願いいたします。

牛飼雅人Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は風邪をひきやすい冬は、小さなお子さんの中耳炎が増えるというお話をお伺いいたしました。
今週は中耳炎の中でも、急性中耳炎について詳しく教えていただけますか。

牛飼雅人Dr: はい。
急性中耳炎の代表的な症状としては、耳の痛みと発熱があります。
お子さんが夜中に急に「耳が痛い、痛い」と言って泣き出すというケースがありますが、こういった耳の痛みは急性中耳炎によるものが多いです。
40度前後の高熱を伴う場合もあり、炎症が進むと、鼓膜の内側に溜まった膿が耳だれとして出てくることもあります。

二見いすず: 耳の痛み、発熱、耳だれが代表的な症状ですね。
急性中耳炎は生後6ヵ月から6歳ぐらいの乳幼児に多いということですが、自分で症状を訴えられない赤ちゃんの場合は、どのようにして見分ければいいのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 耳にしきりに手をあてている、熱が下がらない、夜泣きをする、機嫌が悪い、耳だれが出るなどの症状がある場合、急性中耳炎を発症している可能性がありますので、耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。

二見いすず: よく分かりました。
急性中耳炎と診断されたら、どのような治療を行うのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 抗菌剤による治療が中心です。
膿がたくさんたまっている場合や、痛みが強かったり、熱が高い場合は鼓膜を切開して膿を出すこともありますが、通常ですと鼓膜は数日で再生いたします。

二見いすず: では、治療の過程で気をつけておきたいことはありますでしょうか。

牛飼雅人Dr: 急性中耳炎を繰り返してしまうことを、反復性中耳炎と言いまして、風邪や感染症にかかりやすい集団保育に通っているお子さんは特に注意が必要です。
急性中耳炎は完全に治りきらないと、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)という別なタイプの中耳炎に移行することもありますので、完治するまでしっかりと治療しましょう。

二見いすず: わかりました。
急性中耳炎を予防する方法はあるのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 風邪が原因で起きることが多い病気ですので、普段から風邪をひかないように手洗い、うがい、マスクの着用などを心掛けましょう。
また、鼻をすすると鼻水の細菌が耳に侵入しやすくなりますので、鼻水はこまめにとりましょう。
鼻をかむ時は、両方一気にかむと中耳炎を起こしやすくなりますので、片方ずつ静かにかむようしてください。
赤ちゃんや小さなお子さんは自分で鼻をかむことができませんので、乳幼児用の鼻水吸引器を利用されるのもいいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
来週も中耳炎について詳しくお話を伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の牛飼雅人(うしかいまさと)ドクターでした。
牛飼さん、ありがとうございました。

牛飼雅人Dr: ありがとうございました。