2016.5.21 第681回放送分 『C型肝炎』 ゲスト:井戸章雄ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「C型肝炎」について、鹿児島県医師会の井戸章雄(いどあきお)ドクターにお話を伺っております。
井戸さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。

井戸章雄Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、C型肝炎ウイルスを体内から排除するインターフェロン治療についてお伺いいたしました。
C型肝炎治療は急速に進歩し、年々効果が高まっているだけでなく、一人ひとりに合わせた治療法や副作用への対応策が講じられているということでした。

井戸章雄Dr: はい。
そうですね。
かつてのインターフェロン治療は、注射薬と飲み薬を併用した48週の治療でしたが、2014年9月から飲み薬だけの治療が可能になり、最近では、治療期間も12週と大幅に短縮されました。

二見いすず: 注射薬による治療から飲み薬による治療に進化し、治療期間も短くなったということですね。

井戸章雄Dr: はい。
インターフェロン治療は、血中ウイルス量とウイルスの型によって効きやすさが異なることを前回お話しましたが、最も治療が難しいとされていた1型で、ウイルス量が多い患者さんでも、飲み薬による治療によって95%以上の治療効果が期待できるようになりました。

二見いすず: 95%以上の治療効果というのは、それはすごいですね。

井戸章雄Dr: はい。
体に負担が少ない上に、従来の治療では効果が得られなかった方でも早期にウイルスが消えるケースが多いため、大変喜ばれています。

二見いすず: 効果があがったぶん、やはり副作用はあるのでしょうか。

井戸章雄Dr: 重い症状はほとんど見られませんが、肝機能の数値に異常が出たり、むくみが出る場合もあります。
特に高血圧などの持病のある方は、薬の飲み合わせに注意が必要ですので、必ず専門医にご相談ください。

二見いすず: わかりました。
他にも注意しておきたい点はありますでしょうか?

井戸章雄Dr: C型肝炎ウイルスは、もともと変異しやすいウイルスですので、薬が効きにくくなるという薬剤耐性の問題が出てきています。
実際、薬によってウイルスが消えなかった患者さんの体内には、薬剤耐性ウイルスが見られます。

二見いすず: 薬剤耐性ウイルスを持っていると、C型肝炎は治らないのでしょうか。

井戸章雄Dr: いいえ。
現在は、薬剤耐性ウイルスにも効く薬が出てきています。
ただし、これらの最新の治療を受けられるのは、慢性肝炎と初期の肝硬変の患者さんに限られており、進行した肝硬変の患者さんには投与することができません。

二見いすず: やはり、早期発見・早期診断が不可欠だということですね。

井戸章雄Dr: はい。
C型肝炎はウイルスが感染し、発症しても自覚症状がほとんどありません。
C型肝炎に感染しているかどうかを調べるため、ぜひ一度は肝炎検査を受けてください。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の井戸章雄(いどあきお)ドクターでした。
ありがとうございました。

井戸章雄Dr: ありがとうございました。