二見いすず: | 7月になりました。 今月のドクタートークは「感染症」について、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターにお話を伺います。 西さん、よろしくお願いいたします。 |
西順一郎Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 今週は感染症の中でも、食中毒についてお話いただけるということですが、あらためて、食中毒とはどのような病気なのか教えてください。 |
西順一郎Dr: | 食中毒とは、食べ物を摂取することで起こる急性の健康被害です。 2015年の国内の届け出患者数は2万人を超えています。 |
二見いすず: | 日本では1年間に2万人以上の食中毒の患者がいるということなんですね。 では、食中毒はどのような原因で発生するのでしょうか。 |
西順一郎Dr: | 食中毒の原因は、ウイルスと細菌がほとんどです。 近年はノロウイルスによるものが増えていますが、高温多湿な夏は、細菌による食中毒に注意が必要です。 |
二見いすず: | 夏に気をつけたい細菌による食中毒について詳しく教えてください。 |
西順一郎Dr: | はい。 細菌性の食中毒は、毒素型と感染型に分けられます。 毒素型は、食事のあと数時間で発症することが多いのに対して、感染型は、半日から数日後に発症するのが特徴です。 |
二見いすず: | 細菌性の食中毒は、毒素型と感染型に分けられるということですが、それぞれ代表的なものを教えていただけますか。 |
西順一郎Dr: | 毒素型の代表としては、人の手や指に付いている黄色ブドウ球菌があります。 一方、感染型の代表には、カンピロバクターやO157を含む腸管出血性大腸菌などがあります。 カンピロバクターは鶏肉に多く、鹿児島では鶏刺しによる食中毒がよくみられます。 腸管出血性大腸菌は牛肉に多いので、焼肉はしっかり焼いてください。 |
二見いすず: | 細菌性の食中毒では、どのような症状があらわれるのでしょうか。 |
西順一郎Dr: | 毒素型の場合は、激しい嘔吐がみられます。 感染型では、強い腹痛や激しい下痢、ときに血便もみられます。 |
二見いすず: | 症状に対する治療法はいかがですか。 |
西順一郎Dr: | 脱水を予防するため、水分補給が主体となります。 ナトリウムやカリウムを適切に含んだ市販の経口補水液が適しています。 いわゆるスポーツドリンクは、糖が多すぎて吸収があまりよくありません。 経口補水液が飲みにくいときは、リンゴジュースもいいでしょう。 |
二見いすず: | それでは、食中毒を予防するために気をつけておきたいことはありますか。 |
西順一郎Dr: | 食中毒予防の原則は、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」です。 調理の際は、こまめに手を洗い、細菌をつけない、食材は低温で保存し、細菌を増やさない、肉や魚は十分に加熱し、細菌をやっつけることを心掛けてください。 |
二見いすず: | よく分かりました。 お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
西順一郎Dr: | ありがとうございました。 |