二見いすず: | 今月のドクタートークは「感染症」についてお送りしております。 お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。 西さん、今週もよろしくお願いいたします。 |
西順一郎Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 今週は、蚊に刺されることによって感染するジカ熱、デング熱について、お話いただけるということですね。 |
西順一郎Dr: | はい。 ジカ熱、デング熱の原因はいずれもウイルスで、ヒトにしか感染しません。 ヒト同士でうつることはなく、感染した人を刺した蚊が、また他の人を刺すときにウイルスをうつすことで感染を広げていきます。 |
二見いすず: | なるほど。 では、まず、ジカ熱の特徴を教えてください。 |
西順一郎Dr: | ジカ熱は、近年特に中南米で流行しています。 海外で感染して日本で発症した方がこれまでに10人いますが、日本国内で感染した例はありません。 この夏はブラジルでオリンピック、パラリンピックが開催され、多くの渡航者が見込まれるため、特に注意が必要です。 |
二見いすず: | ジカ熱になると、どのような症状があらわれるのでしょうか。 |
西順一郎Dr: | 数日の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感、関節痛、発疹などがあらわれます。 妊婦が妊娠初期に感染すると、新生児の小頭症などの異常がみられることが報告されており、現在WHOが妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。 |
二見いすず: | 妊娠中は特にジカ熱の感染に注意が必要ですね。 では一方、デング熱はどんな病気でしょうか。 |
西順一郎Dr: | デング熱は2014年、約70年ぶりに国内感染が確認され、大きな話題になりました。 東南アジアを中心に流行がみられています。 蚊に刺されて数日後に、発熱、頭痛、筋肉痛、発疹がみられます。 症状は数日で治まりますが、まれに重症化し、出血を伴うデング出血熱になると、死に至るケースもあります。 |
二見いすず: | ジカ熱、デング熱にならないためには、どのような点に気をつければいいでしょうか。 |
西順一郎Dr: | ワクチンはありませんので、流行地で蚊に刺されないようにすることが第一ですが、日本国内でも蚊をできるだけ発生させないことが大切です。 |
二見いすず: | 蚊を発生させないために私たちができることはありますか。 |
西順一郎Dr: | 蚊は、水たまりを好んで卵を産み付けますので、空き缶に溜まった雨水など、住まいの周囲の小さな水たまりを無くすことで発生数を減らすことができます。 |
二見いすず: | わかりました。 また、虫除けスプレーを携帯する、肌を露出しないなど、蚊に刺されないような習慣を身に付けることも大切ですね。 |
西順一郎Dr: | そうですね。 特にこの夏、東南アジアや中南米に渡航される方は、現地で蚊に刺されないように十分注意してください。 また、日本では蚊に刺されて感染する病気として、日本脳炎を忘れてはいけません。 実際に毎年患者がみられています。 日本脳炎はワクチンで予防できますので、お子さんにはしっかり接種してください。 |
二見いすず: | お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
西順一郎Dr: | ありがとうございました。 |