2016.7.16 第689回放送分 『感染症・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』  ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「感染症」についてお送りしております。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: さて、今週はダニに刺されることによって起こる感染症について、お話いただけるということですね。

西順一郎Dr: はい。
野山にいるダニに刺されることで起こる重症の感染症があります。
ダニは一年中いますが、特に夏は、山や草むらで活動する機会が多い季節ですので、適切な予防が大切です。

二見いすず: ダニに刺されることで起こる感染症というのは、どのような病気なのでしょうか。

西順一郎Dr: 発熱や発疹がみられるツツガムシ病や日本紅斑熱が多いですが、重症例や死亡者が多く、最近注目されているのが「重症熱性血小板減少症候群」です。
英語名を略して「SFTS」と言います。

二見いすず: それでは、重症熱性血小板減少症候群・SFTSについて詳しく教えてください。

西順一郎Dr: SFTSウイルスを持つマダニに刺されることで感染します。
マダニの数%がウイルスを保有しており、日本では三重県以西の西日本で患者が確認されています。
鹿児島県ではこれまでに16人のSFTS患者が報告され、4人が死亡しています。

二見いすず: そうなんですね。
このSFTSになると、どのような症状があらわれるのでしょうか。

西順一郎Dr: マダニに刺されてから6日から2週間後に、38度以上の発熱や吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が出ます。
血液を固める働きをする血小板が減少するため、出血症状も見られます。
高齢者は死亡率が高く、注意が必要です。

二見いすず: わかりました。
感染しないための予防策はありますか。

西順一郎Dr: 予防のためのワクチンはありませんので、マダニに刺されないようにすることが大切です。

二見いすず: マダニに刺されないようにするために気をつけておきたいことを教えてください。

西順一郎Dr: 森林や草むらに入る場合は、衣服は長袖・長ズボンにして、帽子・手袋を着ける、首にタオルを巻いて肌を露出しないことが大切です。
足元から入ってきやすいので、ズボンの裾も閉じてください。
帰宅後はお風呂でマダニに刺されていないか確認することも必要です。

二見いすず: 万が一、マダニに刺されてしまった、というときは、どのように対処すればいいでしょうか。

西順一郎Dr: 吸血中のマダニを無理に取ろうとすると、マダニの持つウイルスが体内に注入されてしまう恐れがありますので、無理に取らずに皮膚科などの医療機関を受診してください。
また、マダニに刺された後、数週間程度は体調の変化に注意をして、症状があらわれた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

二見いすず: よく分かりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。