2016.7.23 第690回放送分 『感染症・肺炎球菌感染症』 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「感染症」についてお送りしております。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: さて、今週は、肺炎球菌感染症についてお話いただけるということですね。

西順一郎Dr: はい。
現在、高齢者の肺炎による死亡が増えていますが、成人の肺炎の約3割は肺炎球菌で起こります。
また、肺炎球菌は、血液中に侵入して菌血症を起こし、進行すると髄膜炎を起こします。
高齢者の菌血症や髄膜炎での死亡率は14%と高く、重症の病気です。

二見いすず: この肺炎球菌感染症は、特に高齢者の重症化が心配されるということですね。

西順一郎Dr: そうです。
肺炎球菌感染症はワクチンによる予防が可能で、一昨年の10月から65歳以上を対象に肺炎球菌ワクチンが定期接種になりました。

二見いすず: はい。
肺炎球菌感染症は、ワクチンによる予防が可能だということなんですね。

西順一郎Dr: 肺炎球菌には96種類の型がありますが、その中の23種類が、現在、成人の重症肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めています。
この23種類に対して効果のあるワクチンが高齢者に接種されています。

二見いすず: では、定期接種の対象となる年齢を教えてください。

西順一郎Dr: 毎年度65歳、70歳、75歳と5歳刻みで100歳までの方を対象に、費用の補助があります。
それ以外の方も任意接種として受けることができます。

二見いすず: 過去に肺炎になったり、肺炎球菌感染症にかかった人も定期接種の対象になるのでしょうか。

西順一郎Dr: はい。
過去に肺炎や肺炎球菌感染症にかかった人も定期接種の対象になります。
また、60歳から65歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に日常生活に困る程度の障害のある方も対象になります。

二見いすず: わかりました。
予防接種と言いますと、副反応についての報道などを耳にすることがあり、少し気になるところなのですが・・・。

西順一郎Dr: 高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンには、重症の副反応はほとんど見られません。
ぜひ安心して接種していただきたいと思います。

二見いすず: わかりました。
せっかくワクチンという予防法があるわけですから、ぜひ接種して感染症から身を守ることが大切ですね。

西順一郎Dr: そうですね。
定期接種の肺炎球菌ワクチンのほかに、子どもに接種している13種類の型を含んだ肺炎球菌ワクチンを任意接種として接種することもできます。
含まれる肺炎球菌の型は少ないですけれども、免疫を誘導する力が強いため、高齢者にも接種がすすめられています。
これについても、かかりつけ医にご相談ください。

二見いすず: よく分かりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。