2016.11.12 第706回放送分 『糖尿病』 ゲスト:鎌田 哲郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、11月14日の世界糖尿病デーにちなみ、「糖尿病」をテーマにお送りしてまいります。
お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。
鎌田さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。

鎌田哲郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は糖尿病の治療についてお話していただけますか。

鎌田哲郎Dr: 糖尿病の治療は、まず血糖値を出来るだけ正常に近く保つことで、血管や神経を障害から守り、合併症を引き起こさないようにすることを目指します。
また体重を適正に保つように努力すること、血圧やコレステロールが高い場合にはそれをコントロールすることも重要です。

二見いすず: 治療によって糖尿病を治すことが出来るのでしょうか?

鎌田哲郎Dr: 残念ながら、現代の医学では糖尿病を完全に治すことはできません。
しかし、今述べた血糖コントロールをはじめとする治療を続けていくことで、合併症を防ぎ、糖尿病の無い人と全く同様の人生を送ることは十分に可能です。

二見いすず: では、どのようにして血糖値のコントロールを行っていくのでしょうか。

鎌田哲郎Dr: 糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。
必要に応じて、内服薬やインスリン注射などの薬物を用います。
近年、2型糖尿病に対してインクレチン関連薬や、尿糖を増やして血糖をさげる薬など新しいタイプの薬物を使うことが出来るようになりました。
特にインクレチン関連の薬は日常臨床でよく使われています。

二見いすず: そのインクレチン関連のお薬について、もう少し詳しく教えてください。

鎌田哲郎Dr: インクレチンは食事をすると、小腸の細胞から分泌される生体物質です。
膵臓に働いて、インスリンの分泌を促したり、その作用を増強させる働きがあります。
またグルカゴンという血糖をあげるホルモンの作用を抑え、血糖を下げる働きがあります。
飲み薬と作用の強い注射薬とがあります。

二見いすず: そうなんですね。

鎌田哲郎Dr: インクレチン関連のお薬は、単独では低血糖を起こさず、特に食後の血糖を下げる働きがあります。
経口薬、注射薬ともに、1日1〜2回の投与でよく、体重増加を来しにくいこともメリットとして上げられます。

二見いすず: 低血糖になりにくく、1日1〜2回の投与でいいということは、高齢者の方の糖尿病治療にも適しているのではないでしょうか。

鎌田哲郎Dr: はい、そうですね。
インクレチン関連のお薬は、現在高齢者の糖尿病治療に最も多く用いられていると思います。
他のいろいろな飲み薬やインスリン注射と組み合わせて使用する事が可能です。
ただし、従来の薬に比べやや割高にはなります。

二見いすず: よくわかりました。
今日は糖尿病の治療についてお話いただきました。
お話は鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

鎌田哲郎Dr: ありがとうございました。