2017.3.25 第725回放送分 『アレルギー性鼻炎』 ゲスト:田中 紀充ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アレルギー性鼻炎」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の田中紀充(たなかのりみつ)ドクターです。
田中さん、最終日の今日もよろしくお願いいたします。

田中紀充Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は、花粉症の「アレルゲン免疫療法」ついてお話をお願いいたします。

田中紀充Dr: 花粉症、アレルギー性鼻炎は一度発症すると自然に治ることは少ない病気です。
アレルゲン免疫療法は、花粉症を根本から治す、現在唯一の方法です。
アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、免疫反応を変化させ、症状がでなくなるように根本治癒が期待できる治療です。

二見いすず: あえて体にアレルゲンを入れて、アレルギーをおこしにくい体質に変えていくということなんですね。
では具体的にはどのような治療なのでしょうか。

田中紀充Dr: アレルゲン免疫療法のひとつに舌下免疫療法という治療があります。
舌下免疫療法は舌の裏側に抗原となる治療薬を投与する方法で、従来の注射のような痛みもなく、重篤な副作用はほとんどないので、自宅で行うことができます。

二見いすず: そうなんですか。

田中紀充Dr: 現在、スギ花粉とダニに対する舌下免疫療法が健康保険適応で治療可能です。
最初の服用は、医療機関で行わなければいけませんが、その後は自宅で1日1回徐々に増量して、その後は決まった量を3年から5年にわたり継続して服用します。

二見いすず: この治療には年齢制限などはあるのでしょうか。

田中紀充Dr: 12歳以上の患者さんが対象となっております。

二見いすず: 治療を始める時期などの注意点はありますか?

田中紀充Dr: 治療開始時期は、スギ花粉が飛散していない時期に限られます。
そのため、ゴールデンウィーク後から秋にかけての治療開始となります。

二見いすず: このアレルゲン免疫療法は、どのような方にお勧めなのでしょうか。

田中紀充Dr: スギ花粉症は受験シーズンと重なりますので、将来、受験を控えている中学生、高校生は根治していた方がいいと思います。
また、女性の方は、妊娠、授乳期には十分な薬物治療ができないので、免疫療法で治しておくことをお勧めします。

二見いすず: わかりました。
症状を抑えるだけの治療ではなく、スギ花粉症を根本的に治すのが「アレルゲン免疫療法」なのですね。

田中紀充Dr: アレルギー性鼻炎の治療法の選択肢は、よりいっそう広がっております。
気になることは何でも相談していただいて、症状の強さや体質に合わせたベストな治療法を一緒に見つけていけたらいいと考えています。
花粉症かな? アレルギーかな? と思ったら、我慢せずに、ひどくなる前に、まずはお近くの専門医にご相談ください。

二見いすず: よくわかりました。
4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
鹿児島県医師会の田中紀充(たなかのりみつ)ドクターでした。

田中紀充Dr: ありがとうございました。