2017.5.6 第731回放送分 『うつ病』 ゲスト:春日井 基文ドクター



二見いすず: 5月になりました。今月のドクタートークは、「うつ病」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターです。
春日井さん、よろしくお願いいたします。

春日井基文Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 5月といいますと、「五月病」という言葉もあり、心の不調が気になる時期でもあります。
今月のテーマである「うつ病」も最近よく耳にする病気ですが、あらためてどういった病気なのか教えていただけますでしょうか。

春日井基文Dr: はい。
うつ病は、気分が落ち込む、これまで興味があったことに関心がなくなる、喜んだり楽しんだりできない、悲観的になるなどの精神症状があらわれる病気です。

二見いすず: 日常生活のさまざまなことをきっかけに、落ち込んでしまう。
そういったことは、誰でも経験がありそうですよね。

春日井基文Dr: そうですね。
日本では100人に3人から7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります。

二見いすず: 100人に3人から7人といえば、身近なところにうつ病を経験した方がいるかもしれませんね。

春日井基文Dr: はい。
うつ病は皆さんが考えている以上にごく一般的で、誰もがかかる可能性がある病気なのです。
さらに、厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査では、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されています。

二見いすず: なぜ、うつ病の患者さんは増えているのでしょうか。

春日井基文Dr: うつ病の患者さんが増えている背景としては、社会・経済的などの環境の影響で抑うつ状態になる人が増えている、うつ病の診断基準の解釈が広がっているなど、さまざまな理由が考えられます。

二見いすず: そうなんですね。

春日井基文Dr: しかし、うつ病の患者さんが最初に精神科や心療内科を受診されるのは1割程度で、ほとんどの患者さんは内科や婦人科、脳神経外科を受診しているというのが現状です。

二見いすず: それはどうしてでしょうか。

春日井基文Dr: うつ病になると、眠れない、食欲が出ない、頭痛や肩こり、めまい、耳鳴り、腹痛、吐き気、動悸、倦怠感などの身体症状が生じることがあるからです。

二見いすず: 眠れない、食欲がない、頭痛、肩こりなどの身体症状の裏にうつ病が潜んでいる場合もあるということですね。

春日井基文Dr: はい。そうですね。
その場合、身体的に明らかな異常は見つからず、症状はなかなか改善しません。
もし、身体症状に加えて、気分の落ち込みや、これまで興味があったことに関心がなくなるなどの精神症状があれば、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。

二見いすず: いつもの自分とはなんとなく違うと感じたら、かかりつけ医に相談することも大切ですね。

春日井基文Dr: そうですね。精神科や心療内科を受診するときは、かかりつけの先生に紹介状を準備していただけると診断や治療に役立ちます。

二見いすず: よく分かりました。
来週もうつ病についてお話を伺ってまいります。
鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターでした。
ありがとうございました。

春日井基文Dr: ありがとうございました。